HSPの人が繊細さと上手に付き合っていく心得 心の悩みから来る「身体の異変」に蓋をしない

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――もし、自分の周りに「この人HSPかな?」という人がいた時には、どんな接し方をしたら?

武田:「HSPだから特別扱いしてほしいわけではない」と、皆さん言います。

望んでいることは、その人自身が幸せでいてくれることです。例えば、会社に繊細な人がいた場合、繊細な人に対して何かアクションをするより、その人自身が幸せに働いてほしいのです。イライラしながら働いている人は、HSPにとって苦しい存在ですから。

私からお願いしたいのは、もしHSPに相談されたら、耳を傾けてほしいということです。例えば「皆がいる環境だと集中できないので、空いている会議室で仕事をしてもいいですか」と聞かれたら「そんなことを気にするな」と言わずに「俺にその感覚はわからないけど、君にとってはそうなんだね」と受け止めて、具体的な対策をとってほしいと思います。

大木:武田さんの話を伺ったことで、もっと自分のために生きていいのだと思いました。

「私がHSPだから、人を困らせているのではないか」「何もできない自分は生きている価値さえない」と思っていた時期もありました。でもそれは、自分が作り上げた世界であり、いい意味でも悪い意味でもなく、他人は自分にそんなに興味はないということ。居心地の良い空間を自分で作り上げていくことが大切だと気づきました。

武田:職場に繊細な人がいるとすごく良いと、個人的には思います。他者への配慮もあるし、基本的にまじめですし、細かいことによく気づいてフォローしてくれるので。

「繊細で良かった」と初めて思った

最後に、大木さんにHSP気質を活かしてお仕事していることがあれば、お伺いしたいです。

大木:私は今まで、繊細な自分を活かせないで仕事してきました。

最近、作家として小説を書き始めたのですが、繊細だからこそ感じ取った「人から言われたどうでもいい一言」や「傷ついて墓場まで持っていこう」というような、今まで誰にも話せずに我慢していたエピソードやその時の醜い感情を、全部物語の世界に形を変えてばこんと投入することができるようになったのです。そのとき、「繊細で良かった」と初めて思いました。

そして、これから先もそれが枯れることがないだろうと思えるようになりました。おごりではなく、自分の気質は変わらないから、それをどう料理していくか、と。

私は繊細で、他人に良く見られようと媚びてしまう自分が嫌いでしたが、この性質は一生変わらないから、それならうまく付き合ってプラスにしていくしかない、と思えるようになりました。

「元アイドルというキャリアばかり活かして、これから何するの?」と言ってくる人がいましたが、そんなノイズも入ってこなくなりました。

武田:自分に合うフィールドを見つけられると、HSPは断然生きやすくなります。合わない場所にいる時は大変ですが、自分がやりたいことや得意なことを見直す時間がとれるといいですね。

大木:そうですね。私は見つけるのに30年かかりましたが(笑)。

これを読んでくださったHSPの方には、なるべく近い未来に、自分らしさを手に入れていただけたら良いなと思います。

自分の良さやコンプレックスが武器になることもあるから、生きづらさ抱えながらも「それは恥ずべきことだ」と思っている人がいたら、「全然そんなことないんだよ」とお伝えしたいです。

二宮 未央 ライター、コラムニスト

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にのみや みお / Mio Ninomiya

東京都出身。幼稚園教諭を経て結婚。出産・育児に入る。主婦として家事全般や子育てにいそしみつつ、保育士としても活動。保育園新規開園の立ち上げも経験する。2016年から、(株)エアー・シンフォニーに所属。2017年、宣伝会議の編集・ライターコースの卒業制作で最優秀作品賞を受賞。著書に『小学校受験バイブル 賢い子育てをするために』(あさ出版)。

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