人一倍繊細なHSPが自分を知って楽になる方法 武田友紀×大木亜希子「私は私のままでいい」

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大木:私も芸能界を離れて会社員になってから、自分の仕事が遅かったり、人から期待された営業を獲得できなかったりするのは「すべて自分のせいなんだ」と思い込んでいました。

武田:私も自分がHSPだと気づく前は、「自分はいろんなことに時間がかかる」と思っていました。

メーカーで働いていた会社員時代、後輩や上司はさっさと実験を進めていく中で、私は「この実験をする意味とは」と考えるところから始め、実験に誤差が出ないように、測定器具の設定を確認したうえで実験にとりかかっていました。確認しているからミスや手戻りは少ないんですが、実験をスタートするまでに時間がかかるんですね。「失敗してもいいからどんどん進める」という人たちが適していた職場だったので、自分がうまくできていない気がしていました。

武田友紀(たけだ・ゆき)/日本で数少ないHSP専門カウンセラー。自身もHSPである。九州大学工学部機械航空工学科卒。大手メーカーで研究開発に従事後、分析力とHSP気質を活かしてカウンセラーとして独立。全国のHSPから寄せられる相談をもとに、HSPならではの人間関係や幸せに活躍できる仕事の選び方を研究。HSPの心の仕組みを大切にしたカウンセリングとHSP向け適職診断が評判を呼び、日本全国から相談者が訪れている(写真:編集部撮影、取材はZoomで実施)

ところが、それは“気質の違い”なんです。HSPは、他の人よりも何倍もいろいろなことに気づいて、1つひとつ考えながら行動します。非HSPは「失敗してもいいからやろう」と思っているというより、そもそもリスクに気づいていないから進めていける面があるとわかったのです。

彼らは彼らのやり方で良くて、私はたくさん考えて進めるという方法が合っている。そんな自分に今の職場は合うのかどうか、自分の努力の問題ではなくマッチングの問題であると考えられるようになったのです。

成果主義の社会のなかで「雑でいいから早くやって」という風潮が強まっていて、それに対してHSPが苦しく思っている、という面がありました。でも、コロナで社会がスピードダウンして、それはちょっとストップがかかったな、と思っています。

大木:私もそう思います。

武田:SNSを見ても、あまり考えずにパッと出された言葉は消えていきますが、経験に基づいてしっかりと書かれた言葉は、やっぱりみんなにシェアされて拡散していきますよね。

「雑でいいから早くやって」という時代が変わればいいなと思います。

他人に心配をかけたくないと思ってしまう

大木:高校1年生の時に、現在、日本テレビで再放送中の『野ブタ。をプロデュース』というドラマでデビューした際、男性アイドルと腕を組むシーンがあった翌日に、クラスの全員から無視されてしまいました。その時に「悔しい」「ムカつく」という感情ではなく、「私が目立つのがいけない」「周りから突出する自分がいけない」というような、人のことを気にしすぎてしまうことがありました。

「芝居に嫉妬するなんて馬鹿げてる」とは思えず、「他人に心配をかけてもダメだ」と思って親にも相談できませんでした。これもHSPに関係はありますか。

武田:周りの人の気持ちを考えて、心配させないようにしてしまうというのは、HSPの人にはよく見られます。

目立つという点に関して、HSPという概念を提唱したエレイン・アーロン博士は、「HSC(ひといちばい繊細な子ども)は他の子と違っているように見えるため、良くも悪くも注目されやすい」という旨、著書で述べています。

ただ、私は、アメリカと日本では違うと考えます。

日本は、相手の気持ちを察して動くことが大切だとされる文化なので、その意味でHSPは日本人像に重なると思うのです。

目立つかどうかは、HSPかどうかよりも、その人の資質のほうが日本では大きいという気がします。

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