人一倍繊細なHSPが自分を知って楽になる方法 武田友紀×大木亜希子「私は私のままでいい」
親が怒鳴る人だったり精神的な病を抱えていたりと、なんらかの事情があって家庭で安心できなかった方は、それが今の生きづらさに大きく影響している印象があります。
やはり、家庭の中で、“子ども”でいられたか、です。
――つまり親の愛を感じられて、安心してわがままを言える環境だったかどうかなんですね。
大木:私の場合、母親が私のことを、自立性を重んじて大切に育ててくれたので、家族仲は良いのですが、15歳の時に父親が亡くなり、人よりも少し早めに経済的に自立する必要がありました。
当時、芸能事務所に入れば固定給がもらえるということもあり、芸能活動を始めました。その後は、親よりも事務所の人が私の保護者であり、いちばん関わる人になっていきました。
15歳から女優活動をして、20歳でアイドル活動をするようになっても、親はさておき、第三者の他人から自分の才能を選別され、評価されるようになりました。自分の軸よりも、“売れる”ことが大事。握手会のレーンで、どれだけ行列ができるか、ファンの人とどれだけうまく関われるか、握手会の時は15秒で雑談力が求められるなど、そういう世界でした。
「ファンの人を大切にしなきゃ。スタッフの人にも、苦手な人でも気に入ってもらわなきゃ。仕事で出会う人にはすべて感じ良くしなければ」という思いで、嫌いな人なのにメールでデコデコにハートマーク、絵文字を使ってみたり、過剰にサービスをしたりして。
そんな自分を、相手は本当の自分だと思うから、嫌いな人にもどんどん寄ってこられるというカオスな状態に陥ったのです。負のスパイラルで、次第に自分でも「そんな自分が本当の自分」と思ってしまい、人から見られる自分が“自分”として見られるのは仕方のないことなのに、他人を恨んだりしていました(笑)。それがとても辛かったです。
常に「こうでなければならない」という意識
武田:大木さんは、自分そのものが“商品”であるという仕事をされていたので、「こうでなければならない」と意識せざるをえない状況が長かったのだと思います。環境の影響がとても大きいと思います。
「あなたはそのままでも大丈夫だよ」と言ってくれる人が少なかったのかもしれませんね。
大木:そうですね。どんな職種でも、私のように悩んでいる人は沢山いるかもしれません。
私は自分を取り巻く環境の微妙な変化に気付きやすい傾向もあります。アイドル時代、グループ全体でロケバスに乗って移動する際も、周囲の音や気配、それぞれの会話やコンディションに影響されて仮眠がとれない。
ステージ本番前の楽屋では、自分自身の歌や踊りが完璧でないのに、過呼吸ぎみになっているほかのメンバーの対応に励んでいて、後から自分もパニックになってしまいました。
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