すました猫、眠る猫、狙う猫など、どの作品にも猫が登場する、「ねこ・猫・ネコ」展が渋谷区立松濤美術館で5月18日まで開かれている。
家の中や庭先をうろつく猫は、画家にとって格好のモデルだった。黒田清輝、藤田嗣治、奥村土牛、猪熊弦一郎ら、今回も展示されているように、実に多くの画家が猫を描いている。どんな猫たちがいるのか、学芸員の平塚泰三さんに案内してもらおう。
背中の毛のフワフワ感
丸い目をしたこの猫は、朝鮮の画家、卞相璧(べんそうへき)が描いたもの。李朝で最も毛の描写に優れた画家だったというだけあって、背中から尾にかけてのふわふわ感が絶妙。特に猫と鶏を得意としたという。
猫はもともとネズミの害を防ぐために飼われたそうだ。平塚さんはこう語る。
「日本に飼い猫が入ってきたのは奈良時代。仏典をネズミから守るためにもたらされたと言われています。平安時代には貴族の愛玩動物になり、鎌倉時代には家の中で飼われている様子が絵に残されています」
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら