猫で手を温める
最後に平塚さんお気に入りの一点を紹介してもらおう。京都の陶工、仁阿弥道八が作った手あぶり、つまりハンドウォーマーだ。背中のフタから火のついた炭を入れる。両耳に穴があり、空気が通るようになっている。大きさは実物の猫とほぼ同じ。茶席に入る前に客が待つ、寄付(よりつき)というところで使われる。
「寒い季節、手をかざすと猫と同じぬくもりが伝わってきます。隣に猫が座っているようで違和感がありません。生き生きとして表情にユーモアがあり、機知に富んだ作品に仕上がっています。技術的にも優れています」
楽焼用のやわらかい土の上に銀彩を施し、その上から黒い釉薬をかけて焼いている。すると窯の中で化学反応が起こり、黒い釉薬の下から部分的に銀色が浮き出してくる。写真ではわかりにくいが、黒猫の毛並みが光っているような効果が表れている。
平塚さんは展覧会の準備のため、猫にまつわる江戸時代以前の工芸品を探したが、なかなか見つからなかった。その意味でも現物を見てみたい一点だ。
そのほか、竹内栖鳳、前田青邨、堀文子らの絵画、猫好きで知られる朝倉文夫の彫刻、今回のために中島千波と畠中光享が描いた作品など、猫づくしの楽しい展覧会になっている。
前期4月5日(土)~4月28日(月)
後期4月29日(火・祝)~5月18日(日)
※前期・後期で展示替えあり
渋谷区立松濤美術館
東京都渋谷区松濤2-14-14
TEL 03-3465-9421
開館時間 10:00~18:00(金曜は19:00、いずれも入館は閉館の30分前まで)
休館日 4月21日(月)、5月7日(水)、12日(月)
入館料 一般1000円、大学生800円、高校生・60歳以上500円、小中学生100円
渋谷区民は金曜は無料(要証明)
土・日曜日、祝・休日、夏休み期間は小中学生無料
自分で撮影した猫の写真(プリントしてすぐ飾れるL判以下のサイズのもの)を持参すると2割引(ネコ割、会期中1人1回限り)
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