アーティストの森村泰昌さんが1枚の絵から思いもよらぬ物語を紡ぎ出す、「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」が、銀座8丁目の資生堂ギャラリーで開かれている。
扮装した森村さんが登場する写真作品は、訪れた人を笑いに包んで不思議の国へと連れていく。担当した学芸員の豊田佳子さんにお話を伺った。
巨匠の名画から、画家が飛び出した?
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ディエゴ・ベラスケス『ラス・メニーナス』 1656年 (C)マドリッド プラド美術館
ディエゴ・ベラスケス『ラス・メニーナス』 1656年 (C)マドリッド プラド美術館
この絵を見たことはないだろうか。17世紀スペインの巨匠、ベラスケスの『ラス・メニーナス』(侍女たち)だ。中央に立つ少女は、国王フェリペ4世の娘のマルガリータ王女。国王がベラスケスに命じて描かせたという。
しかし見てのとおり、王女の肖像画にしては様子がおかしい。
「本来は絵の外にいる画家が描かれ、奥の鏡には国王と王妃が映っています。絵の中のキャンバスに何が描かれているのか、何を目的に制作されたのか、謎の多い絵としてさまざまに解釈されてきました」と豊田さんは語る。
ではここで問題です。上の絵と次の写真作品では、どこが違っているでしょうか?
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『侍女たちは夜に甦るⅢ:絵の深奥の扉を開ける』 2013年 発色現像方式印画 1480×1670mm
『侍女たちは夜に甦るⅢ:絵の深奥の扉を開ける』 2013年 発色現像方式印画 1480×1670mm
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