「オンライン就活」に企業はついていけるのか コロナ禍で「採用の抜本的見直し」迫られる

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「禍を転じて福と為す」ということわざがある。「雨降って地固まる」とも言う。コロナ禍は既成の採用活動をストップさせたが、メリットを指摘する企業もある。先輩から後輩への就活アドバイスの定番は「お金を貯めておけ」というものだが、オンライン就活なら交通費・宿泊費はかからず、時間も効率的に使える。

企業側にとっても、従来見過ごしてきた地域の学生と出会える可能性がある。会場の手配も不要だ。ブラックボックスと化していた面接が、これらのツールの録画機能を使えば、別の面接官のチェックも可能な“見える化”ができる。このようなメリットに着目し、オンライン説明会・面接を平常時の採用手法として取り入れていくと明言する企業もある。

採用の抜本的見直しも

別の考え方もある。禍が恒常的なものなら、そのようなものとして採用の抜本的な見直しをしようという企業もある。

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新卒採用が抱える課題については語り尽くされている。たぶん、課題の認識については共有されているだろう。

しかし、課題の解決は遠く、毎年同じことの繰り返しだ。ビジネスシーンでしばしば「ゆでガエル理論」という言葉が出てくる。水温をゆっくりと上げれば気づかないまま致命傷を負う温度になっているという話で、ゆるやかに起こる環境の変化に適応できない状態を指す。日本の新卒採用もぬるま湯だったのだろう。

「遠方の学生が参加しやすいなどのメリットもあり、平常時においても並行実施したい」(301~1000人・情報・通信)

「これから定期的に新型コロナウイルスの影響が出る場合、採用のあり方を抜本的に見直す必要がある」(301~1000人・サービス)

「働き方改革」を叫びながらもなかなか本格導入が進まなかったテレワーク(在宅勤務)が、コロナ禍によって一気に導入が進んだように、コロナ禍という劇薬で2021年採用は大きく変わった。この劇薬によって新卒採用の課題のいくつかが解ける可能性に期待したいと思う。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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