魔女狩りで市民が市民を罰し日本も分断される

コロナで可視化された、加害者と被害者の溝

法的根拠なしに市民が市民を通報する”道徳自警団”の出現は、戦時中の翼賛体制下よりも異常な状況だ(撮影:尾形文繁)

第8条の5

空襲により建築物に火災の危険を生じたときはその管理者、所有者、居住者その他の命令をもって定むる者は命令の定むところによりこれが応急防火をなすべし

前項の場合においては現場付近にある者は同項に掲げる者のなす応急防火に協力すべし

第19条の2 左の各号のひとつに該当する者は六月以下の懲役または500円以下の罰金に処す

(1、2略)

3 第5条の5または第8条の2ないし第8条の4の規定による禁止または制限に違反したる者

(4略)

第19条の3 左の各号ひとつに該当する者は500円以下の罰金に処す

1 第8条の5第一項の規定に違反したる者

(2略)

改正防空法に見る、消火義務と罰則

この条文は、太平洋戦争開戦直前の1941年11月25日に公布された、「改正防空法」の条文の一部抜粋である(現代語訳)。

1937年から始まった日中戦争は、日本の国力の逼迫を招くと同時に、アメリカ・イギリスとの緊張も高めた。おりしも1939年からヨーロッパでは第2次世界大戦が勃発しており、ドイツ軍はイギリス本国への直接空襲を繰り返していた。

そのような情勢の中、改正防空法は来るべき対アメリカ戦争への準備として、本土が空襲にさらされた際の国民の消火義務と、違反者に対する罰則を定めたものである。ちなみに1941年の大卒銀行員の初任給は、おおむね70円とされるので、罰金500円は現在感覚で言えば、200万円近くに相当する重罰だ。

先の戦争は、国家による戦争指導の下、国民が戦意高揚の”空気”に追従し、自発的な翼賛体制を形作っていった、という見方がある。確かに翼賛体制は相互監視の空気によって醸成されていった。しかし一方で、時の国家はこのように、国家の戦争指導に違反する者に対しては法でもって罰するという、「法的根拠」も着々と整備していたのである。

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