幼児は自ら端末を操作することができないので、オンライン保育には保護者の同伴が必要。通園しているときのように預けて仕事をするわけにはいかないが、保護者には好評だ。
「知っている歌、ダンス、手遊び、見慣れたお友達や先生方とのたわいもない会話など、少しでも普段の生活に触れることができる機会を設けていただいてありがたく感じています。曜日の感覚すらなくなりそうな中、決まった曜日や時間にやっていただけるのも、ペースができていいと思います」(5歳児クラス保護者 原 仁美さん)
「オンライン保育で娘は、画面に映し出される先生やお友達にモニター越しに話しかけたり、『次は壁にお城のような飾りつけをして、お友達に見せてあげよう』と言いながら一生懸命ペーパーワークでお花を作ったりしています。環境の変化にすばやく順応しながら、どんどん世界が広がっているようです」(4歳児保護者 菊池 友子さん)
オンライン保育は幼児の心に安定をもたらし、オンラインを通じた新たな体験で楽しさや喜びを感じさせる機会となっているようだ。ポピンズの取り組みは保護者の口コミで広がり、普段は同保育園に通園していない家庭からもオンライン保育を受けたいという要望が聞こえてくるという。
オンラインの活用の道筋を閉ざさないことが必要
長期の休校は子どもたちに大きな影響を与えている。一方でオンラインでの交わりが、子どもたちにとって急速に身近なものになり、現実での交わりをある程度補完するものになった。これは今回の新型コロナの影響下でもたらされた、大きな変化の1つだろう。
そして特筆すべきは、オンラインのシステム活用が、現実を補完するだけでなく、新しい可能性を子どもに示していることだ。子どもたちは、家にいながら外の広い世界とつながるワクワク感や利便性を獲得した。
思いがけず活用の進んだオンライン会議システムによる保育や教育が今後洗練されてゆくことは、時代性を考えれば必然である。
今回取材した2団体は、緊急事態宣言が解除され学校や保育園が再開された後も、形を変えてサービスを続けていくという。
子どもの心身のサポートや保育分野のオンラインの活用は、リソースが少ない中での子どものケアの拡充に有効なことが、今回の対応で明らかになった。今後はコロナ禍や自然災害などの有事のセーフティーネットとしてだけでなく、よりきめ細やかな子どもたちの保護育成のツールともなるのではないだろうか。
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