子どもの日常を支えるオンラインケアの可能性 親も子も限界!withコロナ時代のサポート

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保育園でも、オンライン化の取り組みが始まっている。7都府県に緊急事態宣言が出された4月7日からは、多くの保育園が休園を余儀なくされた。そんな中、ポピンズホールディングスのポピンズ ナーサリースクールは、同保育園の在園児に向けてオンライン保育の提供を開始。今では320園中200園約に導入し全園への展開を目指している。

「緊急事態宣言が発令された中で、子どもたちの日常を支え、保護者様の負担軽減を図っていく必要性を感じました」とポピンズの轟麻衣子社長は言う。素早くサービスを始められた背景には、保育分野のIT化にかねて取り組んでいた経緯がある。

「保護者の方々への連絡がいまだ紙ベースであるのが1つの例ですが、保育の業界全般は著しくIT化が遅れています。そこでわが社ではITによる業務の効率化を進めるべく、2020年1月に最新のテクノロジーの導入を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)部を設立しました。その矢先に、今回の緊急事態宣言があったのです。すでに社内にIT分野のリソースがあったので、スムーズにオンライン保育をスタートすることができたと思います」(轟氏)

ポピンズのオンライン保育は、緊急事態宣言後の同保育園「ポピンズ ナーサリースクール」や同社が運営する学童「ポピンズ アフタースクール」などでも提供されている。また、ベビーシッター事業の利用者含めて、在宅の子どもや保護者へのケアの一環として、オンライン育児相談にも対応している。

オンラインとオフラインのハイブリッド型で支える

ポピンズではZoomなどのオンラインシステムを使って保育士と子どもたちをつなぐ。オンラインとオフラインの“ハイブリッド型”を目指し、普段子どもたちが触れ合っている保育士や友達との交流を大切にする。いつも担当している保育士による手遊びやダンス、読み聞かせに加えて英語やリトミックなど専門スタッフによるレッスンも展開している。

保育園で以前から親しんでいる保育士や友達とオンラインでつながることで、安心感が増す(写真:ポピンズホールディングス提供)

「お子様にとって普段と変わらない“日常”を、オ ンラインを通じて実現することで安心感を持ってもらうこと。そしてただでさえ子育てが大変な乳児期や幼児期のお母様の、在宅育児の負担を減らすこともオンライン保育の目的です」(轟氏)

プログラムは0〜2歳と3歳以上で内容を変えている。0〜2歳は在宅育児のサポート、3歳以上はオフラインでの主体的な学びにつながる場作りをキーワードに、現在多くの園で毎日午前と午後に約30分のプログラムを提供している。

オンラインで学びの種まきをし、その学びをもとにオフラインで五感を使って体験、そして体験したことをオンラインでアウトプットする。オンラインとオフラインが相乗効果を上げる場を目指す。

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