――それは何ですか?
基本再生産数に関わるものだ。スウェーデンの新型コロナ対策に大きく関係する「集団免疫」というものがある。集団人口の何%が感染すれば、流行は自然と収まるのかという話だが、その比率は基本再生産数の逆数に対応して上下する。
基本再生産数については、私は海外の例を使って2.5と想定することがよくあり、「根拠は何か」と問われることもあるが、海外では2.5という数値はリーズナブルだと考えられている。
基本再生産数2.5の想定では、人口の60%が感染すると、新規感染者数は自然に減少に転じると、これまでの数理モデルでは計算されてきた。これについて、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之先生は60%という数値は大きすぎると批判されているが、そのことが科学的な裏付けをもって説明され始めている。
集団免疫率60%は大きすぎる
――どういうことですか?
集団免疫の効果によって自然に流行が終わった際の最終的な累積感染者数は、理論的に計算できるが、その数値は実際に比べて過大になりがちだという議論は昔からあった。
例えば、今年2月に起きたダイヤモンド・プリンセス号内での感染拡大では、もちろん船内での感染者隔離は行われたが、約3000人の乗船者に対してその約17%が感染した(累積罹患率が約17%)。先ほどの60%には遠く及ばない。
ほかの地域でも同様なことが観察されている。例えば、スウェーデンはロックダウン(都市封鎖)などの全国的な強い行動制限を行わず、自然に集団免疫に達することを受け入れるとしているが、現在、人口の約35%が免疫を持ち、流行は下火になろうとしている。おそらく最終的な累積罹患率は50%にも至らないだろうと言われている。
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