夏以降にコロナ「ワクチン」の成否は見えてくる

専門家会議キーマン・西浦教授が描く展望

病原体の遺伝子を活用したDNAワクチンの開発、臨床試験が国内外で急ピッチに進みつつある(写真:ロイター)
全2回にわたる西浦博・北海道大学教授のインタビュー第2弾。「8割おじさん・西浦教授が語る『コロナ新事実』」(5月26日配信)に続く後編では、新型コロナウイルスの希有な特徴を踏まえたうえで、われわれにとっての「希望」である治療薬とワクチンの行方について聞いた。(インタビューは5月18日に実施)

――日本の新規感染者数は大きく減り、緊急事態宣言も全面解除されました。「せっかくここまで頑張ったのだから、もう少し我慢してゼロにしよう」と言う人もいます。ただ一方で、市中にはPCR検査を受けていない無症状の感染者もいるわけで、判断は難しいところですね。

実を言うと、専門家の有志メンバーがオープンに議論する場があって、時にはみんなで怒鳴り合いながら、かつ健康的にその話し合いをしたことがある。

そのときは、国立感染症研究所の同志の先生が「これだけ実効再生産数を下げられたのだから、1回、韓国や台湾のように新規感染を消さないか」と皆に聞いた。「そうすれば、再び海外から感染が入ってくるまでの短い間かもしれないが、『新しい生活様式』ではなく、本当に元の生活に戻れるよ」と。

それでみんな「さあどうするか」と話し合った。そのときわかったのは、先ほど指摘されたとおりのことだ。新型コロナでは感染者全体の約30%が不顕性(無症状)と推定されているが、さらに症状が軽微で気づかなかったりする人も相当数いる。検査で確定した患者が氷山の一角であるという度合いは激しい。

新型コロナの完全な排除は無理

仮に東京の自粛が5月いっぱいまで続いたうえで、さらに1カ月それを続けても、歓楽街などのハイリスクの場で火種は完全に消えていかないだろう。新型コロナを完全にゼロにするのはそうとうの日数がかかるため、経済への打撃を考えると、さらなる行動制限を伴う可能性の高い排除というものは、選択肢としては見通しが立てがたいだろうという結論に至った。

日本で行ってきた従来のクラスター対策(感染源・感染経路を早期に特定して濃厚接触者に対処していく手法)だけで新型コロナを完全にゼロにするのは、ちょっと無理そうだ。海外では、スマートフォンのアプリを活用しながら、軽症の人のPCR検査を徹底的にやろうという手法が取られている。

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