新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、深刻な問題となっているのがマスクなどの感染防護具の不足だ。中でも不織布を材料とした使い捨てマスクは8割以上を中国などの海外生産に頼っており、サプライチェーンの寸断によって輸入が困難になった。一時期は、マスクを求める消費者が開店前からドラッグストア店頭に長蛇の列をつくった。
そうした事態の打開に立ち上がったのが、東京・墨田区の繊維産業の経営者たちだ。アパレル企業からの発注が大きく減少する中、新たな市場として布や和紙でつくった特徴あるマスクに活路を見出す狙いもあった。
墨田区ならではの取り組み
墨田区のメーカー製の布マスクは使い捨てマスクとは異なり、抗菌や制菌などの機能面で優れ、洗って使える耐久性も売りにしている。地元の商店で販売されており、多くの区民が購入している。
「感染予防対策は、墨田の地場産業で」
5月12日、墨田区のホームページにこんなキャッチコピーが登場した。企業が協力してマスク不足に立ち向かう取り組みとして「墨田区マスクプロジェクト」が紹介されている。
墨田区内の地場メーカーにマスクを作ってもらい、それを地元の店舗で販売したり、町内会などを経由して区内で消費する。メリヤス産業の長い歴史を持ち、染色や縫製などの強みを持つ企業が集積する墨田区ならではの取り組みだ。
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