日本は人口が比較的多く、国内市場は他国に比べると大規模です。しかしながら、大企業の数は他国に比べると非常に少ないのが実態です。
ドイツの人口は8300万人ですが、大企業は1万1379社あります。一方、1億2700万人の人口を誇る日本には、大企業は1万1157社しかありません。
しかも、日本で「大企業」としてカウントされる基準は欧州よりも小さいため、欧州基準では中小企業として扱われる企業も大企業としてカウントされています。同一基準で見れば、大企業の数はもっと少なくなるでしょう。
Fortune Global 500社が発表している世界の業種別企業規模ランキング(2019年)で、日本企業がトップになっている業種は55業種中たったの2業種です。アメリカは27業種、中国は11業種でトップの企業を輩出しています。このランキングは売り上げなどを基準に算出されています。
こういう事態が生じているのは、偶然ではありません。中小企業を小さく定義し、それら企業に手厚い優遇策を施すと、成長しないことにメリットを見出し、中小企業のままでいようとする企業が増えてしまうのです。
中小企業庁を「企業育成庁」に改編せよ
中小企業庁は今まで使命を見事に果たし、中小企業の激増に大成功しました。しかし、皮肉なことに、その結果、生産性を下げることにも大成功してしまったのです。
今回のコロナショックを機に、中小企業庁はその使命を変えるべきです。中小企業に生産性を高めるよう促すことを使命にするのです。それに伴い、中小企業の多くは今までのように小さいままでいることができなくなります。「中小企業庁」という名称も、「企業育成庁」などに変更するべきでしょう。
とにもかくにも、やるべきは生産性を高めることなので、そのために各企業が最適な規模まで成長することを促す政策に変えるべきです。
最も早急に手をつけるべきなのは、小規模事業者支援のあり方を大きく変えることです。たとえば補助金や税優遇の申請書には、生産性の時系列データや生産性向上の目標数値を必ず書かせたうえで、その目標を慢性的に満たせない企業は、補助対象から外すべきです。補助金はあくまでも子どもが自転車につける「補助輪」と同じで、いつまでもそれに頼るのは筋が違うからです。
その意味では、創業してから5年間、せいぜい7年間は優遇してあげてもいいでしょうが、それ以降、中堅企業に成長しない小規模事業者は、すべての優遇策の対象から外すべきです。
小規模事業者が中堅企業規模まで成長すれば、生産性が上がります。輸出もできるようになるかもしれませんし、社員の給料も上がります。技術力も向上し、有給休暇取得率も上がることでしょう。交渉力も増して搾取されにくくもなるでしょうし、税金も払えるようになるでしょう。
ドイツのように中堅企業で働く労働者の比率を高めることが、これからの日本の運命を決めるのです。
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