5月26日、日本医師会は緊急記者会見を開き、4月1日に開示した「医療危機的状況宣言」の解除を発表した。同日午前0時に発効した政府による全国を対象とした「緊急事態宣言解除」を受けたものだ。
超高齢化が進む日本で、罹患者数、死亡者数を他の先進国と比べて大幅に抑え込み、緊急事態宣言についても1カ月半で解除を迎えた。
清潔好きの国民性や高い医療水準が背景
これに対して、横倉義武会長は「清潔好き、律義さ、公共の精神を尊ぶといった国民性や、クラスター対策、ICU(集中治療室)の管理などの高い医療水準、国民皆保険制度により誰でも高度な医療を受けられる仕組みなどが背景にあった」と評価する。ただし、PPE(防護服)の不足や医師が必要と判断した時にPCR検査を受けられなかったことなどは、十分に反省すべき点とも指摘した。
今後、第2波、第3波の懸念もある中で、「医師会、病院会、政府、自治体が一体となって万全の態勢を組む必要がある」(横倉会長)。また、新型コロナに対応した病院は疲弊する一方、地方のクリニックなどでは新型コロナに感染することをおそれた患者の受診行動が控えられ、経営難に陥っているところも多い。今後、医療機関への資金援助も重要な課題になりそうだ。
批判を浴びたPCR検査体制も、感染ピークとみられる3月初旬時点と比べ検査施設が増え、PCRキットの企業からの供給も増えている。
既存の鼻咽頭拭い液だけでなく、唾液から検出できる試薬キット(島津製作所)や30分でできる抗原検査(みらかHD)も現れて、救急現場などで大きな役割を果たす。政府の専門家会議メンバーでもある釜萢敏常任理事は「緊急事態宣言は解除されても新型コロナウイルスがいなくなるわけではない。ともに生きていくという状況がしばらく続く。早い段階で感染状況をとらえて新しい手段を有効に使いながら対策を講じていくことが大事」と話す。
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