コロナとは長期戦、「かかりつけ医」のススメ 「医療危機的状況宣言」は解除だが油断は禁物

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新型コロナとの付き合いは、いったいどのくらい長引くのだろうか。

「幅広く使える治療薬が開発されることが1つの目安」(釜萢常任理事)。軽症段階から安定して効果が出せ、重症化させない新型コロナ専用の新しい薬が必要だ。ワクチンについても、治療薬があれば不要と考える向きもあるが、医療関係者にとっては、安全に治療にあたるために必要不可欠になる。

早く承認されればいいわけではない

治療薬は、優先的に開発を進めても1年や2年はかかる。その中で既存薬の活用が有効な手段であることは間違いない。日本でも、レムデシビル(ギリアド・サイエンシズ「ベクルリー」)の承認が下りた。ただ、使用対象は重要患者に限られる。

レムデシビルは、本来エボラ出血熱の治療用として開発されたもの。富士フイルム富山化学の「アビガン」にも期待がかかるが、同薬はインフルエンザの治療薬として備蓄されたものだ。「毒にも薬にもなる」という言い習わしがあるとおり、薬には副作用がつきもの。レムデシビルは腎障害・肝機能障害のリスクがあるし、アビガンには催奇形性リスクがある。

また、新型コロナ患者に対してどの程度効果があるのかもまだ詳細には見極められていない。特例で承認されたレムデシビルの使用対象が重症患者に限られるのはそのためだ。

3月、予防用ワクチンの共同開発を発表する大阪大学の森下竜一教授(撮影:大澤誠)

治療薬開発は世界中が期待しているところだが、早く承認すればよいというものではない。レムデシビルにしろアビガンにしろ、人道的な見地からの適応外使用はすでに認められている。承認されれば日本では保険が適用されるため患者の金銭的負担は軽くなるものの、新型コロナという病気の詳細がよくわかっていない現状で、安易に処方されてしまう可能性がある状況は危うい。横倉会長も、「他の医薬品と同様に丁寧な治験を行い正式な手続きを経て承認を行ってもらいたい」と慎重な姿勢を崩さない。

ワクチン開発については、「大阪大学とバイオベンチャーのアンジェスが共同開発するDNAワクチンは優秀だと期待しているが、量産化に不安が残ると聞いている」(釜萢常任理事)。海外でもワクチン開発は進んでいるが、供給にあたってはどうしても自国が優先される。やはり国内で調達できることは重要になる。

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