今回は、新型コロナウイルスによる新卒採用への影響を取り上げてみたい。HR総研はコロナ禍について、2月から3月にかけて3回のアンケート調査を実施しており、今回取り上げるのは、主に新年度を迎える直前の3月27~31日に実施した3回目の調査である。
5月末の現在は3月末の調査から2カ月近くが経過し、その間には「非常事態宣言」も発令されている。そこで注意してもらいたいことがある。今回の記事は現在の状況を反映するものではなく、コロナ禍の影響が拡大した「2月~3月の段階で企業が新卒採用についてどのように考えていたか」を知るデータであるということだ。
最初は「対岸の火事」だった
最新の第4回調査は5月15~20日に実施し、2021年卒採用での採用スケジュール変更、オンライン面接の実施状況とともに、2022年卒向けのインターンシップについても質問している。このデータは集計中であり、6月に結果を報告したいと思う。
振り返ってみると、新年が明けた段階で「新型コロナウイルス」の存在を知る者は、日本国内ではほぼ皆無だった。中国・武漢での感染に関する報道は1月中旬から盛んに行われ、現地に滞在する日本人を帰国させるチャーター便が話題になっていた。しかし、コロナ禍は対岸の火事であり、日本へ飛び火すると予想する者はほとんどいなかった。大相撲1月場所は通常どおりに開催され、幕尻力士の徳勝龍が初優勝した。春の選抜高校野球以降にはプロスポーツの開幕があり、夏には東京オリンピックが開催されるはずだった。
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