ところが、2月になると雲行きが大きく変わってくる。まず豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号内での感染が話題になり始めた。しかし、今から思えば反応はまだのどかなものだった。
2月13~18日に実施した第1回調査では、コロナ禍による「新卒採用活動への影響」を懸念する企業は少なく、1割にとどまっていた。その1割の企業のなかで多くの企業(6割)が不安を抱いていたのは「採用スケジュールの遅延」だった。全体から見ればわずか6%の企業にすぎない。
そして、「採用活動への影響を考慮した対策をとる予定は無い」とする企業が6割を占めていた。影響を憂慮する企業は少なく、高をくくっていたのだ。
影響が鮮明になった2月末
2月下旬になると国内感染が報道され、一気に緊迫化していく。2月27日に安倍首相は全国の小中学校と高校、特別支援学校に対して、3月2日からの臨時休校要請を行い、28日には北海道の鈴木知事が緊急事態を宣言した。そして、東京・大阪で感染が拡大していった。
第2回調査は、臨時休校要請が発表された翌日の2月28日から3月4日に行われたが、このような情勢の悪化を受けて、調査結果は深刻な内容に変わっている。2週間前の第1回調査で1割にとどまっていた「新卒採用活動への影響」を懸念する企業は6割に跳ね上がり、大企業・中堅企業では7割に達した。そして、「影響を懸念する企業」の7割にはすでに影響が発生していた。「採用スケジュールの遅延」を8割の企業が挙げている。
例年、採用活動は3月から最盛期を迎える。ところが、今年は停止していた。リクルートキャリア、マイナビなどの大手就職情報会社は、2月下旬になって3月からの合同企業説明会の開催を中止した。セミナー・説明会での企業と学生のコンタクトはなくなり、採用スケジュールが大幅に遅延することは避けられなかった。
もちろん企業側は対策を急ぐ。過半数の企業が「採用活動での対策をとっている、検討中」であり、「これから検討する予定」を合わせると8割が対策をとっていた。第1回調査では対策をとっていた企業は2割もなく、多くの企業は楽観的だったが、わずか2週間で一気に深刻になったのだ。
最も多い対策は「採用スケジュールを見直す(後ろ倒し)」であり(48%)、次いで「マスク着用の推奨」と「セミナー等の延期・中止」がともに46%。これらの対策は会場でのリアルなセミナー・説明会を前提にしたものだろう。
だが、オンラインも検討されている。「来場を伴わない説明会に変更」(38%)、「来場を伴わない面接に変更」(35%)と来場を避けてオンラインで学生との接触を図る企業が増大している。とくにオンライン活用が目立つのは大企業であり、4割が「説明会・面接をオンライン活用に変更」している。それまではどちらかというと、ITベンチャー系を中心に導入が進んでいたオンライン説明会やオンライン面接が、大企業にも導入される引き金となった。
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