コロナ禍が新卒採用へ与えた影響の深刻度 日程が大幅に変更、中小はオンライン化遅れ

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企業の新卒採用は3月初頭に大幅な見直しを迫られたが、社会全体はまだそうではなかった。いま振り返ってみるとのんびりしていた。テレビでは「オリンピックキャンペーン」が盛んに放送されていた。大相撲3月場所は、無観客という異例の形態ではあったが、8日から22日まで開催された。テレビ中継によって力士の取組を楽しむことができた。

企業にも余裕があった。第2回調査で新卒採用についての厳しい認識が示されたが、新入社員に関する回答では甘さが目立つ。「新入社員研修の実施に関する新型コロナ対策」は、「検討していない」が6割で圧倒的に多い。新入社員研修に変更の必要性を感じない企業がほとんどだった。つまり、4月以降にはコロナ禍は収束すると考えていたのだ。

3月下旬に入って事態は急変した。3月25日にオリンピック延期が決定された。それを待つかのように、夜になってから小池都知事が自粛要請会見を行い、緊張が一気に高まった。3月30日にはコメディアンの志村けんさんが亡くなり、コロナ禍による死への恐怖が身近な問題として一気に広がった。

HR総研の第3回調査はこのような状況の下に実施された。要点を挙げてみよう。

ほとんどの企業に「影響」

「新卒採用活動への影響」を懸念する企業は、「影響がある」(38.8%)と「まあまあ影響がある」(29.5%)を合わせて約7割だった。第2回調査よりも10ポイント高い。

「既に影響が出ている」企業は「既に大きな影響が出ている」(27.1%)と「影響が出始めている」(57.4%)を合わせて84.5%と、ほとんどの企業に影響が出ている。とくに大企業・中堅企業では9割前後に達している。

影響の具体的内容(複数回答可)については、最も多いのは「採用スケジュールが遅延する」(66.5%)、次いで「対面での説明会を開催できない」(53.5%)である。以下、「合同企業説明会や学内企業説明会が中止になっている」(47.7%)、「例年より説明会への参加者数が減少する」(40.6%)、「日程再調整が多発し、人的負担が増える」(34.2%)、「対面での面接選考が実施できない」(31.6%)、「例年より応募エントリー数が減少する」(31.0%)、「説明会や面接のオンライン化ができていない」(20.0%)となっている。

簡単に言えば、これまでのやり方が通じないので困惑しているということだろう。

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