一方で、在宅勤務にまったく問題がないわけではありません。
日本では、住宅事情が良好でないため、自宅での仕事には、さまざまな障害があります。とくに、学校が休校になっていることから、子供が仕事の邪魔をする場合が多いと言われます。
また、オフィスにおけるデスクトップPCほどセキュリティー面で保護されていない可能性がある家庭のPCが攻撃を受ける状況が生じています。
こうした問題は、自宅を仕事場にするのでなく、各地にサテライトオフィスを分散配置し、そこで働く形態をとることによって解決しうるでしょう。
「いるか族」の世界からの脱却
日本では、さらに「働き方」の基本に関わる問題があります。
厚生労働省の調査によると、テレワークの実施はオフィスワーク中心の人でも全国平均で約27%にとどまりました。東京でも約52%です。
日本で在宅勤務があまり進まないのは、技術的な理由によるというよりは、「日本型の働き方」による面が大きいと思われます。在宅勤務で働く場合に最も重要なのは、成果主義、ひいては能力主義に転換しなければならないという点です。
ところが、日本の組織では、これまでは、成果よりもオフィスにいるかどうかが評価されていました。上司に「おい」と呼ばれたときに、「はい」と答えられるかどうかが重要だったのです。
テレワークになってビデオ会議が導入されても、中間管理職は、「部下がPCの前にいるか?」をチェックするのに躍起になっています。こうした中間管理者を「いるか族」と読んでもいいでしょう。
こうした人々がはびこる組織から脱却できるかどうかが、日本における在宅勤務の成果を決めることになるでしょう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら