在宅勤務がコロナ後も全然衰えなさそうな訳 利便性や効果が実証されオフィス需要にも影響

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IBMが2万5000人を対象に実施した調査によると、労働者の54%は、フルタイムで在宅勤務リモートワークを続けたいと考えています。

雇用主も、多様な働き方を認めることによって、人材の確保が以前よりも容易になります。また、家賃の高い大きなオフィスを借りる代わりに、小さめのスペースを借りることによって経費の削減になります。

オフィスは、「従業員が毎日集まる場所」から、重要な会議や共同作業のための「ミーティングスポット」に変わるでしょう。

このように、在宅ワークは、従業員と雇用主の両方にとって望ましい働き方となるのです。

都心のオフィス需要がなくなる?

在宅勤務の拡大は、オフィス市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。

多くのオフィスワーカーが長時間の通勤を避ける傾向が強まり、それを在宅勤務に切り替えられることがわかったからです。

つまり、実際のオフィスの大部分は本質的には不要なことがわかったからです。

コロナが終わったとしても、少なくとも都心のオフィスに全員分の業務スペースを確保する必要性はなくなってくる可能性があります。そうすれば、都心のオフィス需要は大きく減少するでしょう。

IT系の企業が解約するようになれば、オフィスの市場は大きく崩れるかもしれません。

ところで、東証REIT指数と都心5区のオフィス賃料には、これまで一定の相関がみられました。

REIT価格の最近の動向を見ると、次のとおりです。

2020年2月までは2000を超える水準であり、2月20日に2250の高値をつけました。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月19日には1145とほぼ半分にまで下落しました。

これは、約3割の下落だった株価より大きな下落率です。その後回復しましたが、5月18日で1593であり、株価の回復に比べて回復率は低くなっています。このような動向は、上で述べたような都心オフィス需要の先行き減少を見越したものと解釈できるでしょう。

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