日本人は「コロナ倒産の増加」を恐れすぎている

「企業数の減少=失業の増加」という思い込み

実際には、中堅企業の平均従業者数は41.1人で、小規模事業者の3.4人に比べて圧倒的に多いのです。また、中堅企業の生産性は小規模事業者の1.3倍で、利益率も高く、資本金も充実しているので、小規模事業者より圧倒的に耐久性が強いのです。

もちろん中堅企業も自粛継続の影響をまったく受けないわけではないでしょう。しかし、まずは小規模事業者から持ちこたえられなくなるのは間違いないので、小規模事業者を中心に失業者が増えると考えるべきです。だから失業者の計算には、中小企業全体の平均雇用者数の9人を使うのは危険なのです。

つまり、仮に記事通りに157.4万社が倒産したとしても、失業者は1426万人ではないのです。乗り切れないのが小規模事業者だけだと仮定すると、失業者は535万人となります。これは記事にあった1426万人の37.5%です。

ですので、「少なくとも535万人から、最大1426万人が失業すると予想される」と考えるべきでしょうし、数カ月の影響なら、前者に近くなるはずです。

過去の統計を見ると、日本では企業の数が減る傾向が顕著です。このように企業数が減少する間、最も減っているのは小規模事業者です。ほとんど小規模事業者だと言ってもいいでしょう。

例えば、2009年から2016年まで、企業数は62.4万社減りましたが、そのうち61.7万社は小規模事業者でした。

このときと同じように小規模事業者が減ることになれば、失業者は先ほどの記事の推計1426万人ではなく、535万人に近くなる可能性のほうが圧倒的に高いと考えるのが妥当です。

さらに言うと、小規模事業者は節税を目的として、実態がないにもかかわらず配偶者などの親族を従業員にカウントしていることも多いです。それを考えると、実際に「失業して困る」人の数はもっと少ないと考えるのが妥当です。

小規模事業者が減っても、雇用が減るとは限らない

コロナ禍を機に、企業数と雇用の関係の本質を考える価値は高いです。

冒頭でも書きましたが、日本では一般的に企業数が増えると雇用が増え、企業数が減ると雇用が減ると考える人が多いようです。政治家も同じように考えている人が多いようで、「1つの企業も倒産させない!」とムキになって力説している姿を見ることも少なくありません。

明らかに俗説的な感情論に振り回されているのですが、現実はそんなに単純ではありません。

第一に、日本の企業数はかなり前から大きく減っていることを認識するべきです。1999年から2016年の間に、日本の企業数は126万社も減っています。コロナ禍の影響で企業数はさらに減るかもしれませんが、トレンドの大きな変化ではありません。

1999年から2016年の間の日本では、企業数が減っても、雇用は減らず、むしろ増えています。第2次安倍政権間のデータからも、これを確認することができます。

次ページ大切なのは「企業数」ではなく「就業者数」のはずだ
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