中野 それにしても、前回は法人税減税を設備投資減税に絡めるのではないかという話をしましたが、まさかキャピタルゲイン課税の税率を引き上げるという話になるとはね。ま、確定ではありませんが、もしそうなったら、正直、成長戦略は頓挫するのではないかと思います。
渋澤 それだけ自民党内で法人税減税に対する批判が多いということなのだと思いますが、残念ながら、そもそも減税をすることで経済のパイを大きくするという発想がないようですね。
時限立法で、生前贈与にかかる税金を10%に
中野 民間のビジネスは基本的に「損して得取れ」じゃないですか。でも、霞が関にその発想はありません。法人税減税で税収が減ったとしても、経済が上手く回れば、別の形で税収は増えます。この発想がないから、霞が関はいつまで経っても発展しない。その意識改革こそ必要だと思います。
藤野 僕は日本全体の問題だと思います。日本の大企業って四半期決算じゃないですか。社長の任期も2期4年が多い。損して得取れと思っているうちに自分の任期が終わってしまうのは忍びないから、どうしても目先で利益を上げようと考えてしまいがちです。長期的な視野で、今やっておくべき設備投資などにお金が回らなくなります。
渋澤 四半期決算なんて、短期志向のヘッジファンドとブローカー、アナリストが必要としているだけでしょう。ただ、そこに問題があるということに、金融庁は気づき始めている。
中野 確かに、NISAにしても、現在は全くもってひどい制度ですが、金融庁はこれを見直そうとしていますから、確かに金融庁自身が長期資本の在り方について真剣に考え始めているのは事実なのでしょう。日本の成長マネーは今、現預金に眠っている状態で、この額が860兆円。NISAをきっかけにして、このお金が動きだせば良いのですが。
藤野 私は2014年から2016年までの時限立法で、生前贈与にかかる税金を10%にすれば良いのでないかと思います。そうすれば今、高齢者に滞留している大量の現預金が、若い人たちに移転される。特にスーパーリッチ層は相続税を節税したいでしょうから、この方法を用いれば、短期間で一気に若い人たちに富の移転が進むはずです。
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