学童指導員「収入減・雇い止め」厳しすぎる現実 急な環境変化で「学童ぎらい」になる子どもも

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休業補償と言えば、指導員とて同じ。

A市の学童は公設だが、運営は民間企業に委託されている。アキラさんはその民間企業の社員だが、給与は時給換算だ。

「登所する子どもが減ったことで、長時間労働はなくなりました。心身ともにもう限界でしたから、ほっとしています。しかし3月中は超過勤務によって月給は額面25万円になり、過去最高でした。4月中旬以降は勤務時間が減るため、例年より月給は確実に少なくなるでしょう。減った分が保障してもらえればいいんですが、難しいでしょうね。特別休暇として休業補償されるのは、感染者が出て閉所扱いになった時だけと聞いています。超過勤務を続けて倒れるか、収入が減るか。指導員として働き続けることは、どちらにしても自分の首を締めるようなものです。多少軽減されたとはいえ、感染リスクが一般の職場よりも高いことに変わりはありませんから」

「給料大幅ダウン」に悩む指導員

B市のキョウコさん(仮名、40代)の嘆きも深い。公設公営の学童保育所に勤務する非常勤嘱託職員だ。

「会計年度任用職員制度が始まったので給料が大幅に減ります」

同制度は非正規職員の待遇改善を目的としているが、4月の導入前から改善につながらない事例が報道されてきた。

「ボーナスが出るかわりに、月額報酬が減ることはわかっていました。でも、よりによってこの大変な時に始まったんです。4月の給料は5月にしか出ませんからはっきりとはわかりませんが、給料は7万くらい減るのではないかと思います。残業代の時給も500円くらい下がるでしょう。5月になったら、明細を見て愕然とするのではないかと思っています。おまけに、これだけ超過勤務が続いているのに、私たち非正規の残業代はボーナスの対象にはなりませんからね。モチベーションも下がります」

キョウコさんは非常勤嘱託職員として長年働いてきた。学童保育指導員という仕事に誇りを持っている。

学童は、コロナ感染症最前線で働く医療従事者等の後方支援にもつながっている。キョウコさんは、「学童を存続させることが、社会を守ること」だと思ってきた。だからこそ臨時休校以来、感染予防対策に神経をすり減らしながら連日10〜11時間勤務を続けてきた。しかし、特別手当がないばかりか、大幅に収入は減る。

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