全国の臨時休校措置によって、突として脚光をあびた学童保育。「学童があるおかげで働ける」と感謝され、保育所とともに、医療従事者や社会インフラを担う人たちを後方支援する「社会資源」であることも知られるようになった。
コロナ以前、学童保育指導員(放課後児童支援員)を取材し続けるなかで、常に耳にしてきたのが「学童保育は軽視されている」という言葉だった。コロナショックによって、「軽視」は払拭されたのか。近畿圏の3市の現場の声を拾った。
共同通信は4月26日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県庁所在地や政令市など85市区のうち64%が学童保育の利用を自粛するよう保護者に求めていたと報じた。
前回記事で書いたように、学童保育の現場では「3密」は避けられない。子どもの数を減らすことは、感染リスクを減らす。指導員の疲弊を和らげるためにも急務だった。
近畿圏では神戸市がいち早く、保護者の職種を限る特別保育をスタート。医療従事者や警察、消防、介護などの「社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な方など真にやむをえない場合に限り」受け入れるとした。
児童の出席率は「3割」に減少
アキラさん(仮名、30代)が働くA市でも、16日から特別保育体制に入った。
「前日まで全児童約80人のうち6割は出席していましたが、16日以降は3割にまで減りました。児童数が減ったことで、交代で休みが取れるようになりました。また、学童閉所の証明書をもらいに来た家庭も3軒あったので、学童が利用できなくなってやっと在宅勤務できる保護者もいるのだと思います」
「自粛」をどうとらえるか――。戸惑った保護者は少なくない。在宅勤務になったものの、子どもの面倒を見ながらでは思うように仕事が進まない。子どもを預け続けていいものかどうか。躊躇しながら子どもを預けて在宅勤務や通勤をしていた保護者にとっては、明確な通達でようやく決断できたのかも知れない。とはいえ、休業補償が出る人ばかりでもなく、実態に即した対応が求められる。
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