新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、休業補償や給付金などの経済対策のあり方、寄付による支援が注目されている。一方で、その金や申請者の個人情報を狙うさまざまな手口のサイバー攻撃が世界中で増えてきた。
日本の場合、全国の消費生活センターに寄せられた新型コロナウイルスに便乗した詐欺などへの相談件数は、4月8日時点で1万件を超えた。市役所などの公的機関や実在の企業を装い、現金給付やトイレットペーパーの支給に関するなりすましメールが確認されている。
海外に目を転じると、イタリアでは、政府の救済策ウェブサイトが申請受付を開始する数日前からサイバー攻撃を受け、受付日にウェブサイトを一時閉鎖した。また、ドイツでは中小企業向けの補助金申請ウェブサイトの偽物が作られ、1週間、正規のウェブサイトが閉鎖に追い込まれている。
アメリカでは経済対策法に乗じた小切手詐欺のなりすましメールやソーシャルメディアメッセージが出回り、インドでは、観光名所の売却という荒唐無稽な募金オンライン詐欺も見つかった。ビットコインの価値が急落し、困った詐欺師たちが新型コロナウイルス関連の寄付詐欺メールを始めている。
伊の救済策サイトがサイバー攻撃で一時停止
ヨーロッパで最も新型コロナウイルスによる死者数が多く深刻な被害を受けているイタリアでは、財政救済策として、自営業者やツアーガイドなどの季節労働者に対し、600ユーロ(約7万2000円)の支払いが3月16日に決定された。申し込みの受け付けは、労働・社会政策省下の全国社会保障機構のウェブサイトを通じて4月1日から始まった。
ところが、4月1日に人々がこのウェブサイトにアクセスし始めて間もなく、サイバー攻撃のため、ウェブサイトが一時停止してしまった。同日、全国社会保障機構のパスクアーレ・トリディコ長官は、労働・社会政策省の公式ツイッターを通じて「ハッカーからの激しい攻撃により、全国社会保障機構のウェブサイトは一時的に停止した」と声明を出した。それまでに33万9000件の申し込みがあったとしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら