補助金に便乗「詐欺サイバー攻撃」横行の実態 伊独では申請サイトが攻撃され一時閉鎖に

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また、トリディコ長官は、サイバー攻撃が数日前から何度も行われ、4月1日も続いたため、ウェブサイトをいったん停止させたとイタリアの公共放送RAIで明らかにした。ただし、具体的にどのようなサイバー攻撃だったかは説明していない。ウェブサイトは、閉鎖の翌日の2日に復旧した。

サイバー攻撃の結果、ウェブサイトにアクセスするたびに別のユーザーの個人情報が見られるようになるという問題も生じた。イタリアのIT企業「フリクエンツィ・ソフトウェア」の社長が発見した。漏洩した個人情報は、数十人分の名前、住所、メールアドレス、電話番号、最後にログインした時間、全国社会保障機構とのやりとりと見られる。

独の補助金申請サイトは1週間閉鎖に

ドイツでは、中小企業や個人事業主への補助金を含め、総額7500億ユーロ(約90兆円)の経済対策が3月に打ち出された。補助金への申請は、3月27日に始まっている。ところが、16あるドイツの連邦州の中で最も人口が多いノルトライン・ヴェストファーレン州(人口は1800万人、州都はデュッセルドルフ)では、4月9日に補助金支払いを一時中止し、申請ウェブサイトを1週間閉鎖する事態に追い込まれた。

サイバー攻撃者は、中小企業向けの補助金申請ウェブサイトにそっくりの偽サイトを90以上作った。正規のウェブサイトはもともと厳密な本人確認を求めるものではなく、名前、住所、税金関連情報、銀行口座などの情報を入力すれば、9000ユーロ(約108万円)〜1万5000ユーロ(約180万円)を申し込める。

サイバー攻撃者は、うっかり偽サイトから補助金を申請しようとした中小企業の入力情報を悪用し、正規の申請ウェブサイトから補助金を申し入れた。ただし、銀行口座は、サイバー攻撃者のものを使い、数十万ユーロ(数千万円)せしめたのである。犯罪者が使うオンライン版の闇市場では、3500〜4000件の情報を盗めたと自慢している者たちがいたという。

ノルトライン・ヴェストファーレン州当局は、こうした偽の申請ウェブサイトを少なくとも104件、調査中である。州は、申請ウェブサイトのセキュリティを強化したうえで、4月17日に申請の受け付けを再開した。

アメリカでは、4月10日時点で1万5000人以上が新型コロナウイルス関連の詐欺を通報している。被害額は1200万ドル(約13億2000万円)に上る。あまりに被害が拡大しているため、米司法省は、連邦検事94人全員を各担当地区の新型コロナウイルス詐欺調整官に任命した。

詐欺のダシに使われているものの1つが、史上最大規模の2兆2000億ドル(約242兆円)の経済対策法である。年収7万5000ドル(約825万円)以下の場合、大人1人に1200ドル、子ども1人につき500ドルの小切手が給付される。米連邦政府機関の内国歳入庁は、4月半ばに低所得者から順に銀行口座へ振り込み始めた。

3月27日に経済対策法が成立した直後から、この給付金を装った小切手詐欺が発生している。米北東部ロードアイランド州のピーター・ネロナ検事総長は、自身の公式ツイッターで4月1日にいくつか詐欺ショートメッセージを紹介した。例えば、「1000ドル(約11万円)の助成金小切手の準備ができましたので、こちらのリンクをご覧ください」「政府助成金は現在、米国市民全員に与えられます。ご自分の受け取り額をご確認されるには、返信ください」などのメッセージがある。

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