「信用金庫と信用組合」意外と知らないその違い 今さら聞けない「銀行の種類」超基礎を解説

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続いて「ゆうちょ銀行」。かなり身近な存在ですが、いわゆる普通の銀行とは違う点も多いことはご存じでしょうか?

「ゆうちょ銀行は郵便局・銀行、どっちですか?」と以前、質問を受けたことがありますが、答えはどちらも。ゆうちょ銀行はそもそも、2007年に国営事業だった郵政事業の「郵便貯金」を引き継いで発足した民間の銀行です。ゆうちょ銀行の店舗数とATMの数は他の銀行と比べても群を抜いていて、全国に約3万台ものATMがあり、貯金残高は約180兆円。これは、大手メガバンクと並ぶ、国内最大クラスの貯金残高です。

ほかの銀行との主な違いは、「預金できる金額」。ゆうちょ銀行の「通常貯金」「定額・定期預金」に預けられる金額にはそれぞれ「1300万円まで」と上限が定められています。上限を超えた場合、超過分は金利のつかない「振替口座」で管理されることになります。

なぜ預金額に上限があるかというと、ゆうちょ銀行のルーツは国営事業だったことから、信用力が他の銀行よりも高い点にあります。同じルールで競争するとゆうちょ銀行にばかりお金が集まり、ほかの銀行のお金を吸い上げることにつながりかねません。また、ゆうちょ銀行の取引は、あくまで個人が対象。会社名義でも口座を作ってお金を預けることはできますが、上限は個人と同じくそれぞれ1300万円なので、法人向きではありません。

ちなみに、「普通預金」や「定期預金」ではなく、「貯金」という言葉を使うのは、民営化前の呼び名を変えていないためです。このほか、ゆうちょ銀行のATMでは振り込みを「送金」と呼びならわすなど、随所に他銀行との違いが見受けられます。

「JAバンク」は農家専用?

CMで、「JAバンク」の名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 農家の人専用の銀行というイメージを持たれますが、そもそもJAバンクは銀行ではありません。また、農家以外の人が利用することもできる金融機関です。

厳密には銀行ではないとはいえ、「信用事業」という事業形態をとっており、銀行と同じような業務がなされています。JAとは「農業協同組合」(農協)の略称で、相互に助け合う精神で作られた組織。農家のための協同組合が運営するサービスなので、「組合員専用」「組合員向け」の優遇が充実しているのは否めません。とはいえ、一般の人は「組合員」にはなれませんが、「農協の准組合員」として出資金を払って口座を作れば、組合員と同様またはそれに近いサービスが受けられます。

比較的高金利の定期貯金のキャンペーンが行われることもありますし、店舗やATMの数が多いのも便利です。実は、JAバンク専用のATM数は全国で約1万2000台と日本最大級で、ゆうちょ銀行に次ぐ規模となっています。

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