オンライン授業「著作物の利用」はどう変わるか 円滑に使えるように、様々な取り組みが進む

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一方で、著作権法は、法律を原則どおりに適用すると、かえって著作物の活用や文化の発展に悪影響があると思われるような場合について、著作権者に許諾を得ることなく著作物を利用できると定めています。

これらの規定は「権利制限条項」と呼ばれています。例えば、「引用」や「私的利用目的」のことです

映像、資料を許諾をとらず遠隔地に同時中継できる

――教育においては、どのような規定となっていますか。

教育において、すぐれた創作物を利用することは、「情報の豊富化」という著作権法の趣旨に照らしても、また新たな創作活動を促すという意味でも、重要だと考えられています。

この観点から、著作権法は教育における著作物の利用に関する権利制限規定を設けています。

もともと、著作権法35条は、教育機関が対面授業のために著作物を「複製」することを認めていました。教師が授業の教材として資料をコピーして、教室で配付する行為がこれにあたります。

さらに、2003年の著作権法改正によって、対面授業の映像や授業で使用した資料を遠隔地に同時中継することも許諾を得ずにできるようになりました。

なお、法律の適用で受ける教育機関は、原則として「非営利」であることが必要です。

規制緩和の一環として営利企業である株式会社による学校経営が可能になったことに伴い、学校運営の範囲においては株式会社にも適用されることになっていますが、予備校、塾、カルチャースクールは含まれません

次ページオンライン授業実施で立ちはだかった「著作権の壁」
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