オンライン授業「著作物の利用」はどう変わるか 円滑に使えるように、様々な取り組みが進む

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――オンライン授業の実施にあたり、「著作権の壁」があるとして問題となっていました。

現行の著作権法では、対面授業の同時配信以外のオンライン送信については規定がありません。

また、オンライン授業にあたっては、教師が他人の著作物を用いて作成した予習・復習用の教材を生徒や学生にメールで一斉送信したり、授業用のサイトに教材をアップロードしたりすること、つまり教材の「公衆送信」も行われると予想されます。

しかし、現行の著作権法のもとでは、このような形態での著作物の利用については、「引用」などほかの権利制限規定で認められない限り、著作権者の許諾を得ることが必要です。

この点が、オンライン授業を行ううえで立ちはだかる「著作権の壁」といえるでしょう

補償金の支払いを条件として、著作物の利用可能に

――2018年5月に公布された改正法では、どのようなことが変わったのでしょうか。

デジタル・ネットワーク技術の進展によって、新たに生まれるさまざまな著作物の利用ニーズに対応するために権利制限条項が見直されました。

教育に関しても、タブレットを利用した個別授業などの教育の情報化に対応した改正が行われました。

具体的には、補償金の支払いを条件として、教師が他人の著作物を用いて作成した予習・復習用の教材を児童生徒等にメール送信することや、オンデマンド授業や対面授業を伴わないリアルタイム配信授業のために教材をインターネット送信することが、権利者の許諾なく行えるようになりました。

また、従来から認められていた対面授業の同時配信は、補償金の対象外であることも明確になりました。

ところが、この改正法は公布日から3年以内(2021年5月24日まで)に施行することになっているものの、この取材の時点(4月7日)ではまだ施行されていません。

現在効力を持っている著作権法は改正前の法律なので、先ほど説明した「著作権の壁」はまだ存在していることになります。オンライン授業で利用したい個々の教材について著作権者の許諾を得られれば問題はないのですが、これも現実的には難しいと思われます

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