優秀でも人材育成できない上司が低評価な理由 1対1の部下とのミーティングが改善策にも

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とはいえ、そういう仕組みが整っている会社は滅多にありません。管理職になると個人としての目標も達成しながら、組織の目標達成に向けても尽力し、人材育成もしなければなりません。それができないのであれば、専門職や独立の道を模索すべきでしょう。

しかもここ数年は、「1on1ミーティング」(以下、1on1)が大きな注目を集めています。1on1とは、上司と部下が1対1で対話すること。週に1回、もしくは月に1回は30分程度の時間をとり、部下の現状や悩みに寄り添って話を聞く人材育成の新しい手法です。

アメリカのシリコンバレーでは当たり前の習慣とされ、ヤフーやメルカリといった有名企業や成長企業が次々に実施するようになり、日本でも導入する企業が増えてきました。

この現象は、何を意味しているのでしょうか?

そう、「部下の育成」が世の中の大きな流れになってきているのです。若者人口の減少は止まりません。若手の採用が困難な時代に、せっかく採れた人材を育てることができない、あるいは優秀な若手を辞めさせてしまうことは、企業にとって大きな痛手です。

それがわかっているからこそ、変化が激しく忙しい会社ほど、部下との対話としての1on1に力を入れていると言えるでしょう。

「部下なんて育てなくても、個人として高い目標を達成できていればいいじゃないか」

「仕事は教えるものではなく、自ら見て学ぶものだ」

そういった意識では通用しない時代が、すでに始まっているのです。

「周りを巻き込む力」が「人を育てる力」につながる

今はまだ管理職になっていない人も、課長クラスに昇格すると「人材育成責任」を持つことになります。そのときに向けて準備を始めましょう。

管理職に限らず、30代以上に求められる重要なコンピテンシー(成果につながる行動)は、「動機づけ」です。周囲に仕事の目的や意味を伝え、情熱を持って働きかけ、チームの活性化を促す。なぜそれをするのか、するべきなのか、その結果どうなるのかを具体的に示し、各自が納得して目標を目指す雰囲気を作る。

チームの一人ひとりの言動にも注意を払い、モチベーションが低下しているメンバーがいたら適宜フォロー。やる気が落ちた原因を探り、その原因を取り除く努力をする。

課長補佐をしながら、部門全体を盛りあげ、後輩の面倒を見たり、仕事のやり方を教えたりして、チームで成果をあげるためにはどうしたらいいのかを考えていく。

つまり、自分1人だけではなく、周囲を巻き込んで組織やチームの目標を達成していくことが、30代では特に重要になってくるのです。

この「周りを巻き込む力」が、将来的には部下を育てる力になり、何かをやろうと思ったときに仲間を集める力になり、お客様や人脈を持つ力になります。

「自分さえよければいい」という意識で仕事をしていると、やがて会社にとって不要な存在となり、居場所を失ってしまうかもしれません。

周囲を活性化するのが自分の仕事。そういう認識を持ち、来るべき日に備えましょう。

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アルファポリスビジネス編集部

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