優秀でも人材育成できない上司が低評価な理由 1対1の部下とのミーティングが改善策にも

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部下が悩んでいても、励ましや助言ができない。弱点や課題を指摘しない。個々のキャリアビジョンを把握せず、何を目指しているのかも知らない。個別の目標設定もできない。相談にも乗らない。そして、部下が突然の退職者を出す……。

このような管理職は、個人としては高いパフォーマンスを発揮していても、人事はもちろん、経営者からも、部下からも「困った人だ……」と思われています。

そもそも、なぜ、そういう管理職が多くいるのでしょうか?

それは管理職とは「何」をする仕事なのかを理解していないことに原因があるのでしょう。私は管理職研修の講師を務める際には、いつもこんな質問から研修を始めます。

「みなさん、管理職って“何”を管理する仕事だと思いますか?」

すると、多くの管理職が「部下、ですか?」「数字とか?」「時間?」「進捗?」と、自信なさそうに答えます。

管理職になっても、何をすればいいのかわからない。マネジメントの基本を学ぶ機会がなく、勘や経験に頼った自己流になりがち。そのため優秀なプレイヤーだった人が、管理職としてはなかなか力を発揮できず、評価も評判も落としていく。

そんな悲劇が多くの会社で起こっています。

マネジメントに必要なのは、「経営資源を効率的に活用し、最大の成果をあげること」。経営資源とは、「モノ・カネ・情報・時間」、そして「人」です。

すなわち「人」の管理を通じて「モノ・カネ・情報・時間」を管理し、最大の成果をあげることが、管理職の仕事なのです。そのため「タスクマネジメント」「ヒューマンマネジメント」「リスクマネジメント」の3本の矢が必要になります。

タスクマネジメントとは、仕事を段取りよく行い、成果をあげること。
ヒューマンマネジメントとは、人を育てること。リスクマネジメントとは、ハラスメントや不正、重大なミスなどをしない、させないこと。

これら3つのどれかが欠けていても、管理職として高い評価は得られません。パワハラやセクハラなどは論外ですが、人を育てることができない管理職に対しては、今後ますます厳しい目が向けられていくでしょう。

「1on1ミーティング」が大ブーム

部下を育てることができない管理職が多いのは、必ずしも本人の責任だけではなく、会社の仕組みにも原因があります。

日本のほとんどの企業は、プレイングマネジャーが基本です。プレイヤーとして個人の目標達成が求められる一方で、マネジャーとしても人材育成・進捗管理・計画立案・問題分析といった、さまざまな領域で高い成果が求められます。

どんな職種にしても、プレイとマネジメントを両立させるのは、そもそも無理のある話です。80年以上にわたる日本プロ野球の歴史を振り返っても、プレイングマネジャーとして成功したのは、故・野村克也さんただひとりではないでしょうか。

本来であれば、管理職には個人としての目標や数字は持たせず、マネジメントに専念できる環境を作るべきでしょう。

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