新入社員を苦しめる「配属ガチャ」発生の背景 終身雇用前提の制度に若手社員から異論の声

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企業からすると、欠員が出たためとか、人員が必要な部署へ配属しているといった側面もありますが、一方では新入社員をしっかり育てるために各拠点の教育担当の元に分散して配属している側面もあるのです。また、新入社員の定着率が高い優秀な教育担当の元に優先的に配属する傾向がありますが、その教育担当が地方にいる場合は自ずと地方配属が増えてしまいます。

職種に関しても、企業は企業なりに良かれと思って配属先を選んでいます。企業としては、どの新入社員にも将来は戦力になってもらいたいと考えており、広く企業内の仕事を経験してもらうため、ジョブローテーションを行います。

特に大企業では、上位者として活躍するにはゼネラリストになるべきという根強い考えがあるため、さまざまな職種を経験させます。日本経済新聞の「私の履歴書」を見てもわかるように、大企業のトップのほとんどは、都市部の営業で配属されたと思ったら、製造現場、地方の営業、人事など多種多様な職種を経験しています。

つまり最初に配属される職種は、あくまでも「最初の職種」でしかありません。次々にいろいろな職種を経験し、企業内でのゼネラリストになるためのキャリアパスが用意されています。大企業だと8年間(22歳で新卒入社して30歳になるまで)のキャリアパスが複数種類も用意されていることが一般的でしょう。ある大手食品メーカーでは、30歳までに最低2つの事業部での業務経験を積めるよう、キャリアパスを設計しています。

もちろん現在欠員しているという理由だけで配属されるケースもあります。また、新入社員を幹部候補としてふるいにかけるために「タフアサインメント(負荷をかかける配属)」をあえて行うケースもあります。負荷のかかる配属を経験することで新入社員を鍛えるだけでなく、その能力を選別するために行う配属は、どちらかというと一方的な企業都合の配属に思えるかもしれません。

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