新入社員を苦しめる「配属ガチャ」発生の背景 終身雇用前提の制度に若手社員から異論の声

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――企業の思惑はわかりました。でも、時代の流れとしては「ジョブ型」の採用・配属に移行していったほうがいいように感じるのですが、企業はこの流れに対応していくと思いますか。

このままの流れが続けば、「ジョブ型」への移行は進むと考えています。インターンシップ選考や、ある程度業務内容が決まった採用枠を持っている中小企業に入社することで最初の配属から自分の希望する職種に就くことができます。

ベクトル副社長の秋山輝之氏は、大手流通業の企業人事出身の組織人事コンサルタントで、「採用と退職」という切り口から設計する人事戦略・制度構築のプロフェッショナルだ。上場企業を中心に170社の人事制度設計に携わっている (撮影:UZUZ)

その職種での就業経験を積むことで、専門的なスキルや実績を携えて、大企業やもっと条件の良い企業に転職し、年収を向上させるキャリアプランを考えている若い人は増えてきています。

そうなると、大企業も優秀な新入社員が採用できなくなるので、変化を求められます。私のクライアントの大企業では、転勤をなくしたところもあります。採用をエリアごとに行うことで、エリア内での限定配属が可能となりました。

しかし、この採用方式は景気が良い状態では実現できるのですが、景気が悪くなると採用できないエリアが出てきてしまう可能性はあります。景気が悪くなると地方拠点の業績が悪化するため都市部でしか採用できなくなる恐れがあるからです。そうなると、地方在住で地元での就職を希望する人には採用枠がなくなってしまう場合もあります。

いままでも何度も「ジョブ型」が広まった時期はあったのですが、不景気になる度に元に戻っていった歴史もあります。不景気になると、大企業人気が復活し、「終身雇用型」もある程度盛り返すのではないかと考えています。

希望通りの配属を勝ち取る「ハイカツ」

――最近は、配属を有利に進めるための活動「ハイカツ」が注目されています。どうすれば配属先を少しでも自分の希望通りにできるのでしょうか。

配属に関して、自分の希望を叶えたいのであれば、人事に対して何度も口頭で伝えることが大事です。伝えるチャンスは、内定連絡、内定式、配属決定のときです。エントリーシート(履歴書)に希望を書いている人もいますが、エントリーシートは書類選考時にしか見ていないので、配属時にはほとんど忘れられています。

また、最初の配属で自分の希望通りにならなかったとしても、そこで諦めないことが重要です。配属が希望と違ったからといってすぐに退職するのではなく、入社後に職場や人事に希望を伝え続けることが重要なのです。

今はどの職場でも転職による退職が多く、1〜2年と待つことなく希望の部署に異動できることも少なくありません。そのためにも自分の希望を伝え続けることが重要なのです。

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