堀江貴文氏がそれでも宇宙を目指す本当の理由

“ゼロ"からロケットを作り始めた彼の真意

結果はあさりよしとおさんの『なつのロケット』というマンガにまとまった(だから「なつのロケット団」なのだ)。どうも野田さんは、その後ずっと「これって、ひょっとして本当に作れるんじゃないか」と考えていたらしい。実際に作ろうと思ってもお金はないし、専用の資材が使えるわけでもない。でも、小さなロケットエンジンなら、おっさんのポケットマネーでも作れるんじゃないか、と。

できることをできるところから

保釈された直後、自宅を出ることがままならない僕は、ネットを使ってロケットエンジンの部品を作ってくれる中小企業を探し始めた。動ける野田さんたちは、目星をつけた工場に直接行って、エンジン部品を作ってもらうべく交渉を始めた。随分断られた。そりゃ当然で、町工場に漫画家やらSF作家やらが直接訪ねてきて、おもむろに「ロケットエンジンの部品を作ってくれ」。

まあ普通は「嘘だろ」と判断して断るだろう。とはいえ粘ってみるもので、僕は、やってくれそうな会社を見つけた。僕の見つけた会社は、他社の工場とネットワークを築いており、連携しながらさまざまな技術を要する部品や加工に対応していた。

ロケット団メンバーに連絡し、早速会いに行ってもらった。結果は上々で、すんなり発注できた。どんな状況でも、何かを実現したいと思えば、できることはあるし、前に進むことはできる。そう思った。諦めずに、数打ちゃ当たるのだ。

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そこからは、トライ&エラーの連続だった。野田さんが設計した最初のエンジンの仕様は推力30kgfで、燃焼時間は2秒でしかなかった。冷却機構がないので2秒しかもたないのだ。燃焼室はぶ厚い壁面のステンレス製で、手に持つとずっしり重たかった。その壁面の熱容量で2秒だけもつという設計だ。

そんな原始的なエンジンを、ホームセンターで買ってきたアングルで組んだテストスタンドに取りつけて、スウェージロック社というアメリカの会社が出している配管やバルブを組んで、これまたがっちり重たいタンクとつないだものが、僕らの最初の実験装置だった。

最初の実験場所は、あさりさんがマンガを描いている仕事場の風呂場で水を流すところから始まった。ロケットエンジンを作るとき、最初は推進剤ではなく水を流して、流れの状態を観察するのだ。

まず、動く。動いて試して考える。考えたらまた動く。やりたいことがあれば、それに向かって動けばいい。

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