堀江貴文氏がそれでも宇宙を目指す本当の理由 “ゼロ"からロケットを作り始めた彼の真意

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「宇宙? 私らの生活には関係ないよ」などと、もう言ってはいられない状況が、全世界で起きている。まだピンときていない人が大多数だけれど、世界中のあちこちで頭の巡りの速い人はもう気がついていて、どんどん動き出している。「今日と同じ明日があると思うなよ」だ。「今日とまったく違う明日がやってくる」のだ。

変化の波に乗るか、波に溺れるか。どうせなら、波に乗り風に乗り、まったく新しい世界を楽しみたいじゃないか。

そのカギとなるのが、宇宙なのだ。

思えば、いちばん最初は、SF作家や漫画家などを中心とした集まりだった。技術も資金も足りないなか、1歩進めては失敗と小さな成功を繰り返し、これまでやってきた。今は、技術者も増え、世界の民間宇宙開発企業と肩を並べられるまでになってきた。

そんな僕たちのゼロからの挑戦が、これからなにか新しいことを始めようとする人の背中を押せるとうれしいし、なにより、自分も宇宙開発に携わりたいと思ってくれる人が増えれば、幸いである。

なにもない“ゼロ”からロケットを作り始めた

荒唐無稽と思えることだって、まず動くことから始まるのだ。

しかし、思えば本当に長かった。ライブドア時代にロケットの検討を始めた当初は、ロシアからエンジンとカプセルを買ってくればロケットはおろか有人宇宙船だって簡単にできるものだとタカをくくっていた。いやもう甘かった。

話は2004年1月にさかのぼる。

当時ライブドアのCEOだった僕は、宇宙を舞台にしたアニメーションを制作したいと思っていて、「新世紀エヴァンゲリオン」や「オネアミスの翼」を制作したガイナックスさんと連絡をとっていた。そのとき、ガイナックスの担当者から、「堀江さんに会いたいと言っている人がいるんだけど」と紹介されたのが、SF作家の笹本祐一さん、漫画家のあさりよしとおさんと、その友人たちだった。

彼らが持ってきたのは、世界最小の1人乗りカプセル型有人飛行船の話だった。世界最小ということは、コストも小さくなるはずだ。すると、打ち上げの頻度も高まり、量産化できるのではないだろうか。僕は、その話にのることにした。

そして冒頭の話だ。「物事を早く進めたいなら、なんでも自分でやろうとしないこと」と考えていた僕は、実現に必要なエンジンとカプセルをロシアから買おうと、エージェントを通してコンタクトをとった。実は以前、ロシアからエンジンが売りに出されていた時期があった。

1991年のソ連崩壊の直後で、ロシアが金に困っていた時期のことだ。アメリカはすごいことに、この時期にガレージセールのごとく売られていたロケットエンジンとその技術を、札ビラ振りまわして大人買いした。もちろんちゃんとした意図があってのことだった。ロシアの技術がテロリストに流出するのを恐れたのだ。

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