「自分本位な人」が結局大きな幸せをつかむ必然 「利他」「協調」の対極にあるわけではない
セルフィッシュな人は身近にいる
楠木建(以下、楠木):セルフィッシュ(SELFISH)という言葉だけを見ると、「自己中心」「自己正当化」「自己合理化」をイメージしがちですが、この本に書かれていることは似て非なるものですよね。
秦卓民(以下、秦):この本では、SELFISHを“自分本位”と表現します。そこが魅力なんですよね。
楠木:“自分本位”な人というのは、無理をせず、未来に期待せず、つねにゆとりがあるものです。この本は、「あ、これってあの人のことだ」って想像しながら読めます。実際、セルフィッシュな人として、秦さんも私も、共通の知り合いを思い浮かべましたよね(笑)。
秦:そうなんです。セルフィッシュを体現している人はすでにいて、その人とオーバーラップしながら読み進めると、リアリティーがあって実態がとてもつかみやすくなりますよね。
楠木:多くの自己啓発書は「それ全部できるやつ、ホントにいるの?」となりがちです。ところが、この本は、「この視点で見ると、自分が知っているAさんは、ここに書いてある人だよな」と、数は少ないかもしれないけれど、思いつくことができる。この本に書かれているような人は、ちょいちょいいるんですよね。
こういうところも、この本が時間を経ても価値が失せない理由でしょう。
秦:20年以上前の本なんですけどね。