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中国で「沖縄特区」論、強まる沖縄への不穏な動き 日本政府と沖縄の離間が狙い?不毛な沖縄認識

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中国が沖縄への統一戦線工作を強めているが、沖縄に対する理解もでたらめで矛盾も抱えている。

沖縄県の玉城デニー知事と会談する福建省トップ
初めて沖縄を訪問した福建省トップ・周祖翼氏と会談した沖縄の玉城デニー知事(写真:共同通信)

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中国当局が沖縄県との政治・経済・文化交流を以前にもまして推進している。2024年だけでも、7月には沖縄県の友好都市である福建省のトップ、周祖翼・中国共産党福建省委員会書記が沖縄を初訪問。9月には同省の厦門(アモイ)市に本部を置く厦門航空が初の沖縄路線の定期運航を開始した。那覇と福建省の省都の福州を結ぶ直行便で、同路線の直行便は他社が運航していた2015年以来およそ9年ぶりだ。

「学術交流」名目に沖縄に政治的接近

中国側の積極的な動きについて、日本側では台湾有事やそれと連動可能性の高い尖閣諸島に対する中国軍の軍事行動を念頭に置いているとの見方が出ている。日本政府と沖縄県政との政治的離間工作との見方も根強い。

中国当局の狙いは在沖縄米軍基地問題と南西諸島地域における自衛隊の軍事力増強(南西シフト)への反発をテコとして、沖縄における反日本政府・反米国の県民感情を高め、日米の対中抑止力の向上を牽制・妨害することにあるという。10月上旬に日本経済新聞が沖縄独立を扇動する中国語のフェイクニュースの流布拡散についての調査報道をだしたが、これもそうした政治工作の一環と考えられている。筆者もこうした見方に基本的に同意する。

2012年の習近平政権発足以来、「琉球学」の確立・振興についての国際会議が盛んに開催されている。学術研究の名目で北京の有力な政策コミュニティのメンバーが中心となって、尖閣と沖縄周辺の東シナ海の海洋問題や在沖縄米軍基地問題がテーマにされている。これらの会議には中国国内の研究者だけでなく、沖縄独立論を含む沖縄の自主・自決の拡大を主張する日本の研究者、メディア関係者、そして一部の政治家も参加している。

これ以前から沖縄と中国、とくに朝貢の歴史的背景をもつ福建省との間には歴史研究を中心として手堅い学術交流の成果が着実に積み重ねられてきた。ところが、2012年の日本政府による尖閣諸島の国有化を受けて状況が変わり始める。

2013年5月に中国共産党の機関紙『人民日報』で中国社会科学院に所属する2名の有力な中国近代史研究者の共著論文(張海鵬、李国強「論『馬関条約』与釣魚島問題」)が発表された。文中では尖閣諸島の領有権問題と連動させる形で1879年の琉球処分(琉球併合)の不法性を指摘し、沖縄の日本への帰属は未確定と主張した。論文は、尖閣諸島の中国領有の正当性を強調するとともに「歴史上未解決の琉球問題もふたたび議論するときがやってきたのだ」との言葉で締めくくられている。

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