早くも「トランプ」余波、ドイツ連立政権が崩壊 保護主義による輸出産業への影響を懸念し対立
経済低迷が続くドイツで、政治混乱が極地に達した。総選挙が来春に前倒しされ、政策停滞の打破が早まる可能性もある。
アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利した余韻が覚めやらぬ11月6日夜、ドイツで連立政権が崩壊し、来年秋の議会任期満了を待たずに連邦議会選挙が行われる可能性が高まった。
ドイツ連立政権は2021年の発足以来、財政運営や気候変動対策などを巡る意見相違から政策が停滞し、支持率の低迷が続いてきた。最近でも来年度の予算審議の本格化に先駆けて、ドイツ独自の財政均衡規定(債務ブレーキ)の遵守に必要な90億ユーロの財政の穴埋めを巡って対立が表面化していた。
財務相を解任、内閣信任投票へ
保護主義的な政策を掲げるトランプ氏勝利を受け、主力の輸出産業への影響を懸念するショルツ首相(社会民主党=SPD)は、債務ブレーキの緊急条項発動でさらなる財政緊縮を回避し、経済再生や生活支援に回すべきと主張したが、財政規律を重視する自由民主党(FDP)党首のリントナー財務相がこれを拒否した。
ショルツ首相はリントナー氏の財務相解任を決断し、連立政権の崩壊が決定的となった。
ショルツ首相は今後、野党の協力を仰ぎ、所得税制の変更、年金改革、企業のエネルギー負担軽減策、自動車産業支援、欧州連合(EU)の難民規則変更など、今会期における重要立法作業を進めたうえで、来年1月15日に内閣信任投票に臨む意向を示唆している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら