「無礼な人」が近くにいると息苦しいのはなぜか 無礼さの「害悪」は脳に焼き付いて離れない
隔離しても問題がすべて解決するわけでない
誰かに無礼な態度を取ること、取られることを「自己完結的」な体験だと思っている人は多い。直接、やりとりをした当事者どうしで完結することだと思っている人が多いのだ。
だが、実際には、無礼さはウイルスのように人から人へと伝染していく。その後、関わった人たちすべてに悪影響を与え、人生を悪いほうに導くことになる。
例えば、企業の本社内のあるオフィスで誰かが誰かに無礼な態度を取ったとする。すると、その悪影響は知らない間に、廊下にも、3つ上のフロアにも、休憩室にも伝染していく。影響を受けた人はその後、社外の人、顧客などとも接することになるだろう。
誰も気づかないうちに、無礼さの影響は社内全体に広がり、すべての人をより不親切に、より不寛容にし、すべての人の元気、楽しさを奪う。いったん生まれたウイルスは活動しなくても休眠状態で私たちの脳の中に潜伏している。
エドワード・M・ハロウェル博士によれば、無礼な態度によって生じた悪い記憶は数年間は残るという。博士は、これを「脳の焼き付き」と呼んでいる。誰かの無礼な態度で苦しい思い、不愉快な思いをすると、その瞬間の感情によって、身体に生理学的な反応(脈拍が速くなる、呼吸が不安定になる、など)が起きることがある。
自分が直接、無礼な態度を取られたわけではなく、そばでそれを見ていただけでも、心と身体の両方に悪影響がおよぶことはある。そうした状況では、大量のアドレナリンが体内を駆け巡るが、脳にはその痕跡が必ず残る。
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