「無礼な人」が近くにいると息苦しいのはなぜか 無礼さの「害悪」は脳に焼き付いて離れない

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私はワシントンDCのレーガン空港に行くことが多いのだが、そこに常駐しているアラスカ航空の社員に立ち居ふるまいの素晴らしい人がいる。その態度は、周囲のすべての人をいい気分にさせるし、皆にいい影響を与えている。

寒さが厳しいひどい天候の日でも、乗客がいらだって無茶な要求をしてきたときでも、その社員の態度はつねに変わらず素晴らしいままだ。

彼女を見かけるだけで私はいい気分になるし、ほかの人も同じように彼女の姿を見たあとには表情が明らかによくなっているのがわかる。誰かのいい態度に接していい気分になった人は、その後、いいことに注意が向きやすくなる。乗客も乗務員も、お互いに対して普段より少しだけいい態度を取る。

何か困っている人がいれば、互いに進んで助け合う雰囲気になる。誰もが互いに対して寛容にもなる。彼らの「角の取れた」態度は、飛行機を降りたあとも続く。

今日からできる礼節の魔法

ルイジアナ州の大病院、オクスナー・ヘルス・システムでは、礼儀正しい態度の影響力を重要視し、それを最大限に生かすために病院公式の「ガイドライン」を策定した。

「10/5ウェイ」と名づけられたこのガイドラインでは、誰かと10フィート(約3メートル)以内に近づいたら目を合わせ、微笑みかけること、5フィート(約1.5メートル)以内に近づいたら「こんにちは」と声をかけることが定められた。

このガイドラインが実際に運用され始めると、病院内にはすぐに礼儀正しい態度が広まった。患者の満足度も向上し、「この病院がいい」という推薦を受けて来る患者も増えた。

すでに何度も書いているとおり、無礼な態度は決して、そのときだけのものではない。その後も広い範囲の人たちに悪影響をおよぼすものだ。ウイルスのように静かに、あっという間に数多くの人たちが感染してしまう。

無礼な態度を取った人の属するチームだけでなく、部署全体、さらには会社全体、顧客など外部の関係者にも影響を与える。自分がどれほど無礼な態度の影響を受けやすいか、ほとんどの人は気づいていないし、実際に影響を受けて行動が大きく変わっていても、気づかないことが多い。幸い、礼儀正しい態度の伝染力も同じくらいに強い。

私たちの努力次第で、無礼な態度にはかなりの程度、対抗できるのだ。礼儀正しく思いやりのある態度に接すると、そのあとには優しさ、喜びが周囲の多くの人に広がっていく。

私たちの一人ひとりがささいな行動に注意すれば、温かく、互いのことを認め合える雰囲気、皆に元気を与える空気を作り出すことができる。これは今日から、今からでもできることだ。すぐに始めない理由はどこにもない。

クリスティーン・ポラス ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授

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Christine Porath

活気ある職場を作ることを目的とし、グーグル、ピクサー、国際連合、世界銀行、国際通貨基金、アメリカ労働省・財務省・司法省・国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行う。
その仕事は、CNN、BBC、『タイム』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『フィナンシャル・タイムズ』『フォーブス』など、世界中の1500を超えるテレビ、ラジオ、紙メディアで取り上げられている。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校ケナン=フラグラー・ビジネス・スクールにて博士号取得。博士号を取得する以前は、スポーツ・マネジメントとマーケティングを行う大手企業IMGに勤務。
共著に『The Cost of Bad Behavior』がある。

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