被害総額は4000万円。付け入る隙となったのは孤独だ。
「年末には億の金が入るんだ」
会話をすることがめっきり減っていた夫を問い詰めると、そんなことを言い出した。いま思い返せばあのときにクギを刺しておけばよかったと、後悔している。
神奈川県川崎市に住む60代の女性が夫の異変に気づいたのは4年ほど前のことだった。クレジットカードの利用履歴に、覚えのない120万円の記録があり、口座から引き落とされていたのだ。
夫に尋ねると、「大したことじゃない」「すぐに元が取れる」などと、はぐらかされた。まったく腑に落ちない。説明を求めると、ようやく夫は語り出した。1カ月ほど前に東京・池袋の街頭で男から声をかけられたという。
その日、夫は池袋駅近くのビルの壁に掲示されていた外国為替証拠金取引(FX)のチャートを眺めていた。すると、FX投資会社の営業担当者を名乗る男から「ちょっとお時間あったら、話だけ聞いてもらえませんか」と促された。
普段、話し相手がいないこともあって、ついてゆくことにした。
夫婦の会話がなかった
話はFX投資だった。程なく「クレジットカードの利用限度額を調べたい」とその男に言われた。運用実績があるという説明や、高い利回りが得られるという話を信用し、クレジットカードを渡してしまった。
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