まるでホラー「教育虐待」描いたマンガの深い意図 第三者が認識しにくい「密室での暴力」の深刻
新潮社のウェブマンガサイト「コミックバンチKai」で連載され話題を呼んでいる漫画『教育虐待』。ホラーをも思わせるワダユウキ氏の作画に一見、現実離れした印象を受けるこの作品だが、実はすべてフィクションというわけではない。なぜなら、ルポ作家・石井光太氏の同名書籍『教育虐待:子供を壊す「教育熱心」な親たち』(ハヤカワ新書)を原作にマンガ化されたものだからだ。
マンガ化することで、より多くの層に読んでもらい「教育虐待の概念を広めたかった」という石井氏は、教育虐待の現状をどう見ているのか。
教育虐待は、被虐待児としてはカウントされない?
――教育虐待をテーマに書かれようと思ったきっかけを教えてください。
理由は大きく分けると2つあります。ノンフィクションの書き手として、社会問題にまつわる取材をさまざましていますが、少年院やフリースクールを取材していると、教育虐待の犠牲者みたいな子たちが一定数います。
ところが教育虐待の場合は、少年院などでも虐待された子、被虐待児としてはカウントされていないケースがかなりあります。
日本の少年院の場合、被虐待児の数はだいたい男子4割、女子6割くらいで、そのほとんどが身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、性的虐待といったいわゆる第三者が認識できる暴力です。一方、教育虐待は心理的虐待というなかなか見えにくいものとして起こることが多く、他の虐待と比べてわかりにくい。
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