まるでホラー「教育虐待」描いたマンガの深い意図 第三者が認識しにくい「密室での暴力」の深刻
――教育虐待という虐待があることを広く認知させるということですね?
そうです。教育虐待の犠牲者は、自分が教育虐待を受けているという認識がない場合が多い。一般的な虐待でも子どもが「悪いのは自分」と思い込んでいることがありますが、教育虐待の場合も同じです。悪いのは勉強ができず、家族に迷惑をかけている自分なんだと思ってしまう。だから余計に表面化しづらいのです。
また、教育虐待は都市部の話だと思われることもありますが、地方にも存在します。地方では、中学受験の勉強にお金をかけられる家庭というのは経済的にゆとりのある家庭、たとえば医者の家庭などにある程度限られてきます。地方の名門一貫中学なんかに行くと3割から4割がお医者さんの子どもだなんて学校もあるほどです。
地方の私立中高一貫校では医学部進学率が高いのですが、それは、医者の子が多いという背景もあるように思います。しかし、医者の子どもが実際に親と同じくらいの偏差値を取れるかというと、そうではない。でも、親は期待しますから、子どもに圧力がかかります。
地方は東京などと違って、中学から受験する子の数のほうが圧倒的に少ないです。そのため、優秀な子は優秀な子で完全に他の子と切り離されてしまいます。
例えば、塾の行き帰りも都会であれば受験塾に通う子も多いため、友達と一緒に電車で行ったりしますから、子ども同士で話しながら情報共有するなかで「ウチはちょっとおかしいかも」と気がつくチャンスがあるかもしれません。ところが車社会の地方では、塾の送迎を親が車ですることが多いですから、子どもは家庭と塾という世界しかなくなってきます。
公立から私立の中学にいく子がクラスや学校に一人か二人という状況では、この子たちがマイノリティなので、それが教育のやりすぎかどうか気がつきにくい。
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