2024年アメリカ大統領選挙は共和党のトランプ候補が当選した。アメリカ第一を掲げるトランプ氏の大統領返り咲きは国際情勢にどうなるのか、日本にとって最大の関心事の一つである台湾情勢への影響も懸念される。
台湾に非友好的な発言が続くトランプ氏
筆者は8月から台湾に在住し台湾のテレビ報道を見てきたが、台湾メディアのアメリカ大統領選への関心は非常に高かった。10月末に日本の解散・総選挙があった時も、日本の選挙のニュースよりもアメリカ選挙の報道量のほうが圧倒的に多かった。
台湾のメディアはそれぞれ政治的立場が明確かつ大きく異なるので、一概に「台湾メディアは」とはいえない。それでもトランプ氏への警戒感は共通していた。それは、この選挙期間中にトランプ氏が台湾について好意的でない発言を繰り返したからだ。
トランプ氏はブルームバーグなどのアメリカメディアのインタビューで「半導体ビジネスが台湾に盗まれた」と述べてきた。また台湾の安全保障について、台湾はアメリカに依存しているのに「保護費を払っていない」と不満を述べ、大統領に当選した場合に台湾に防衛費の大幅増を迫る姿勢を示した。この2つの発言は台湾メディアが繰り返し伝えている。
ほかにもトランプ氏が台湾を「ペンの先っぽ程度」と極度に軽視する発言をしたことが、かつての補佐官の証言で明らかになっている。バイデン大統領が「民主主義の台湾」を高く評価する発言をしてきたのとは対照的にトランプ氏は台湾に好意的な発言をしたことがない。
台湾の頼清徳政権はアメリカ大統領選について「注視している」という慎重な言い方に徹し、候補者への言及を避けてきた。台湾政府は、共和党か民主党を問わず米台関係を強化していくというのが公式の立場だ。実際、蔡英文前総統の8年間の前半はトランプ政権だった。
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