本連載の取材でも、芙美子さんのような女性にときどき遭遇する。外見や雰囲気が周囲の男性に与える第一印象と、自分自身の性格や好みにギャップがあるのだ。
芙美子さんの場合は一見すると大人しくて従属的な性格を想像してしまうが、実際には仕事も1人の時間も愛する自立した女性であり、パートナーに「強い男性」などは求めていない。女性によってはこの逆のパターンもある。人は見た目では判断しにくいということだろう。
芙美子さんが6歳下の恋人と別れたのは36歳のとき。彼が子どものいない結婚生活を求めていることがわかったのが理由だ。それをきっかけにして、芙美子さんは本格的な婚活をようやく決意する。選んだのは個人経営の結婚相談所だった。
結婚相談所で検索をして、代表者によるブログ記事などを読み、「ここは厳しくはなさそうだけど、やるべきことはちゃんとやってくれる」と感じた結婚相談所に決めた。自分は強引な性格の人が苦手なので、厳しいことを言われすぎると婚活自体が嫌になって結果を出せないと予感したのだろう。ただし、はやりの婚活アプリの利用は考えなかった。
大勢の中から結婚相手を見つけるために必要な2つのこと
「婚活アプリには結婚ではなく恋愛が目的な人が多く、既婚者が混じっていることもある、と知人から聞いたからです。私は年齢が年齢なので何よりも時間が大事だと思い、結婚相談所に入ることにしました。多少のお金がかかるのは仕方ありません」
このコメントからも、芙美子さんは状況を客観的に見て合理的な行動ができることがわかる。小さな結婚相談所を利用する場合、独身証明書などの提出を求められるだけでなく、男女の双方にカウンセラーがついてお見合いから交際の様子までを見守り続ける。遊びや何かの勧誘目的で利用することは不可能に近い。結婚までの時間を節約したい人には効率的な仕組みなのだ。
多くの結婚相談所は「連盟」と呼ばれる会員情報共有システムに参加している。数千~数万人規模の会員になるので、出会いの数は婚活アプリと遜色がない。休日を使って、結婚を前提とした交際を求める異性と集中的にお見合いすることができる。
ただし、男女双方が膨大な数の会員を検索し合ってお見合い希望を出したり出されたりするため、その中からたった1人の結婚相手を見つける能力が問われる。自分のプロフィールをできるだけ魅力的に作成する力と、お見合いや交際の相手を取捨選択する際の目利き。この2つは必須だ。まともな結婚相談所であれば、2つともカウンセラーが力を貸してくれる。
外見が魅力的な芙美子さんの場合、37歳という年齢であっても同世代からのお見合い申し込みを数多く確保できた。写真を含めたプロフィールを「盛る」必要はない。むしろ、何十人もの希望者の中からお見合い相手を適切に絞り込む目利きが問われた。忙しく働いているのでお見合いや交際にあてる時間も有限なのだ。ここでも芙美子さんは客観性を発揮する。
「今までにも合コンのような婚活らしきことはやってきました。それでも結婚できなかったということは私には男性を見る目がないということです。お見合い相手はすべてカウンセラーの方に選んでもらいました」
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