「子どもがつないでくれた縁です。彼と息子が仲良くしているのを見て、家族というのはこういうものなのかな、と思ったので結婚しました」
東京・日本橋にあるマンダリン オリエンタル東京に来ている。平日の午後に休暇をとって来てくれたのは会社員の佐藤典子さん(仮名、42歳)。細面の美人だが、親しみやすそうな雰囲気を醸し出している。このホテルのアフタヌーンティーには一度来てみたかった、と口に出して喜んでくれた。
晩婚を果たした「未婚の母」
現在、2人の子どもを育てている紀子さん。いわゆる「未婚の母」でありながら40歳で晩婚を果たした経歴の持ち主だ。最初の結婚が破談になったのは33歳のときだった。
「7年も付き合って、婚約指輪も交わして実家へのあいさつも済ませていました。でも、直前になって私の両親が大反対し始めたんです。
理由もはっきりしません。彼がバツイチであることや、彼の親のことが嫌い、などと言っていました。それを覆してまで結婚する気になれなかったのですが、結婚を壊した親に対して『許せない』という気持ちがずっと続いたんです」
傷心を抱えた紀子さんは、知人男性の家に泊めてもらう日が増えた。その男性も離婚歴があり、養育費を払っている。ちゃんと好きになって結婚するとしたら、また両親と同じようなやりとりをしなければならない。それが嫌だと思い、あいまいな関係を続けていた。そして妊娠が発覚する。
「彼と関係があったのは数えるほどです。それなのにできてしまいました。前の人とは7年も付き合っていてできなかったのに……。『お前は好きに生きろ』という意味かなと思って、1人で産んで育てることにしたんです」
お腹が膨らんできてから両親には報告をした。すると、母親の反応は意外なものだった。
「あの人の子なの? それなら、いい」と。自分が結婚に大反対した前の婚約者のことを指しているのだ。
「なんて勝手な人なの!?と思いました。母は自分が幸せな結婚をできなかったので、長女である私に夢を託し続けているんです」
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