私事で恐縮だが、2011年の秋から「スナック大宮」という読者交流飲み会を続けている。集まってくれるのは毎回20人ほどで、本連載の読者だという人も多い。独身者からは「早く結婚して晩婚さん連載に出たい」という声も聞く。つねに取材先を探している筆者としてはありがたい話だ。
関東地方で研究職をしている中村芙美子さん(仮名、37歳)がスナック大宮に来てくれたのは2018年の冬だった。女優の永作博美を若くしたような風貌の色白美人で、知的で控えめな女性。結婚にも前向きで、同席した独身男性たちから熱い視線を浴びていた記憶がある。
その芙美子さんと久しぶりにメールで連絡を取り合った。昨年の秋に3歳年上の周平さん(仮名)と結婚を果たし、現在は妊娠中だという。
<しばらくはスナック大宮へ飲みに行くことができませんが、また落ち着いたら遊びに行かせてください>
もちろん大歓迎だ。周平さんと一緒ならば「夫婦割」を適用する。ただし、その前にインタビューをさせてほしい。1年足らずの期間で、交際からの結婚&妊娠。どのような方法で幸せをつかんだのか知りたい。芙美子さんが指定してくれた最寄り駅近くの喫茶店に赴き、話を聞くことにした。
37歳までなぜ結婚しなかったのか
まずは素朴な疑問から。芙美子さんは結婚願望がある同世代の独身男性からも大いにモテそうな外見と雰囲気をしている。機会ならばたくさんあったはずなのに、37歳になるまで結婚をしなかったのはなぜか。
「学生時代から20年間、一人暮らしを満喫していました。自宅には恋人にも長居はしてほしくなかったぐらいです。結婚は35歳ぐらいまでにして、子どもができたらいいなとは、ほんのり思っていました」
30歳前後で仕事と結婚のどちらに比重を置くかを迷ったこともある。しかし、日々の業務をこなすことに精いっぱいで、結婚はなんとなく後回しになった。その間、何度か恋愛をしたが、結婚までには至らなかった。
芙美子さんには1つだけ譲れない条件がある。「オレについて来い」タイプの男性は避けたいことだ。
「オラオラ系の人に強引に引っ張られると反発したくなります。どちらかというと、Mっぽい男性がいいです」
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