日本と欧米で「結婚不必要」な理由が違う
山田昌弘(以下、山田):『結婚不要社会』では、タイトルのとおり、日本は結婚が必要のないものになっているということが、大きなコンセプトになっています。欧米も結婚不要社会です。
しかし、欧米の不要の意味と日本の不要の意味は違う。欧米では性的なパートナーは人間の幸せにおいて必要だけど、パートナーと結婚する必要はないし、ずっと同じパートナーと一緒にいる必要もないと考えているという意味で、結婚は不要になっています。
一方、日本の近代社会は結婚しないと心理的に生きにくくなる「結婚不可欠社会」でした。それは現代も変わらず、結婚を望む人はいまだ多い。しかし、結婚が困難になりつつあるから、パートナーなしでも楽しく過ごす。そういう意味で不要になりつつあります。
植草美幸(以下、植草):確かに、昔は結婚していないと世間体が悪いと考える人が多かった。先日、うどん屋さんに入ったら6テーブル中5テーブルはおひとり様の女性でした。しかもその多くはおそらく独身。見ればだいたいわかります。
おひとり様を楽しんでいる女性は本当に多い。「いつでも結婚できるだろう」という人もいるのでしょうが、30代後半になって慌てて結婚相談所に駆け込んで来るケースは少なくありません。