三線を販売しているネットショップはたくさんあるが、楽器だけに実際に触れてから買うか決めたい、という人は多い。三線専門店が東京近郊にほとんどないこともあり、ちんだみには関東一円からお客が訪れるのだそう。
「練馬のころは30代のお客さんが多かったのですが、新宿には小さい子から年配の方まで来てくれます。沖縄旅行に行ってきた人や、テレビで沖縄の特集を見た人が三線を始めたくなって、ネットで検索したらうちの店が出てきた、新宿なら行きやすいし見に行ってみようか、という人が多いですね。
アジア、アメリカ、ヨーロッパなど海外の人もすごく増えました。向こうでは修理ができないからと、日本に来たときに、直してほしいとわざわざ来る人もいます」
新宿近郊にある沖縄料理店や、エイサー(沖縄や奄美大島でお盆に踊る伝統芸能)の団体とのつながりも増えた。そのネットワークを経由して、新たな客が来店するというサイクルも生まれたのだと、比嘉社長は笑顔で話す。歌舞伎町でお店をするうえでの苦労話を聞いても、「ぶっちゃけ、あまりないんですよね」と涼しい顔。強いて言うなら、と前置きしたうえで、
「オープンするときに、うちのお店で働きたいっていう女の子がいたんです。でも彼氏から、『歌舞伎町は危ないからダメ』って止められたそうです。あとは、お客さんが親子で来て、お子さんがトイレに行こうとしたら、『1人で行かせて大丈夫ですか?』と心配されたことも。やっぱり歌舞伎町に危ないイメージがあるんでしょうね」
「歌舞伎町って思ったより怖くない」
前述のとおり、ちんだみを訪れるのは、三線の愛好家あるいはこれから始めようとしている人たちが中心。歌舞伎町に怖いというイメージを持つのも、致し方ないのかもしれない。
だが実際に来店した人の多くは、「歌舞伎町って思ったより怖くない」「きれいな街になった」という感想の人がほとんどだという。
比嘉社長自身も約35年前、沖縄の高校を卒業した後に上京し、歌舞伎町でよく遊んでいた。当時は街中に暴力団員風の人も多く、危険なイメージが刷り込まれていたが、お店を出してからは払拭されたと明かす。
「今は一転して、普通に子供連れの人も歩いていますからね。お店を出すときも、そっち(暴力団など)の人たちが、場所代を取り立てに来ないか不安に思っていたのですが、今はそういうのはありませんよ、って管理会社の人から言われて安心しました」
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